バイオリン・ビオラを弾くときの姿勢に、悩みがない人はいないと思います。レッスンでも多くの方が先生から、姿勢に関するさまざまな指摘を受けているでしょう。姿勢が思いどおりにならないのは、バイオリンがすらすら弾けないのには、理由があります。
理由のひとつは下半身です。下半身の状態が良くないと、上半身は思いどおりに動かせません。
下半身のなかでも腰は、意識を使って修正しやすい部位です。改善が難しいのが足裏。外反母趾や偏平足です。外反母趾や偏平足だとバイオリンは弾きにくくなります。
?なぜ外反母趾や偏平足になるのか
?どうすれば改善するのか
?どんな靴がいいのか
バイオリン演奏への影響が大きい、脚と足の話をさせていただきます。
(1)足裏のトラブルと、その原因
① 足裏のトラブルとは
足裏のトラブルといえば偏平足。足裏のアーチがつぶれ、平らになった状態のことです。
偏平足はおもに、縦アーチがない状態をさします。横アーチがない状態は開張足(かいちょうそく)と言い、足裏の各種トラブルは横アーチがないことから起こります。
いちばん人々を悩ませている外反母趾。横アーチが崩れて平らになってしまったため、親指の付け根が外側へ出っぱってしまう症状です。同じことが小指側で起こると、内反小趾(ないはんしょうし)と言います。
タコや魚の目は、横アーチがあれば浮いているはずの箇所が、床に触れるためにできます。浮き指・屈み指・巻き爪も、偏平足・開帳足が原因です。
② その原因
◆これまでの原因説
足裏トラブルの主たる原因は、先のとがったパンプスである。と昔は言ったものですが、今そう考える専門家はいません。外反母趾はパンプスを履かない男性にも見られますし、靴を履かない民族にもあるそうです。
◆足病医学による考え方
西欧諸国には100年以上前から足病医学という科目があります。足病医学によると、足裏のトラブルは、膝の過剰回内(かじょうかいない)から始まるとされてます。
step1.膝の過剰回内
step2.足首の崩れ
step3.偏平足・開張足
step4.外反母趾・内反小趾・タコ魚の目・浮き指
日本にも2019年 足病医学会ができました。しかし膝の過剰回内と足の関係については、日本ではスポーツ界のほうが取組が先行しています。
◆根本原因
なぜ「step1.膝の過剰回内」が起きるのか? コンセンサスが取れている共通の見解は「運動不足による筋力低下」くらいしかありません。(なんてこった!)
地磁気が低ければ、人はスクッと立てません。文明化による地磁気の低下、どんどん増える人工電磁波や化学物質、それらから人体が受けている影響も関係あると思います。
地磁気は、二酸化炭素や気温と同様、〇万年という単位で変動があります。しかし、コンクリートや金属に囲まれて暮らすようになったこと。土や木に触れなくなったこと。それが、現代人の体の変化と無関係であるとは思えません。
(2)過剰回内から開張足へ、その先のトラブル
① 膝の過剰回内(かじょう かいない)
回内とは、体の動作の方向性を示す 専門用語。過剰回内とは「過剰に回内している」という意味です。
この単語に、体の部位を示す情報は含まれていないのに、ネット検索すると「膝の過剰回内が足裏トラブルにつながる」という情報がどっさり表示されます。
膝が回内するとは、膝が「内側の下側」へ向くことです。膝は脚の一部で、膝だけが「内の下」へ向くことはできませんから、脚・足・腰も同じ方向へ歪みます。
膝の過剰回内は、走る系のスポーツ界では、既によく知られています。シューズの専門店に行くと、店員さんはみな知っています。
医療系では過回内とも言います。回内が過ぎた足は、回内足・過回内足と呼ばれます。
② 足首の崩れ
すねの骨と、足指の骨のあいだには、じゃり石のような骨が7つあります。足根骨(ソッコンコツ)。
7つの中で1つだけ、足底面にない骨があります。距骨(キョコツ)です。キョコツは、すねの骨に接している唯一の骨でもあります。
キョコツには全体重が乗ります。残り6つの骨への中継地点になっているのです。「足首の崩れ」とは、膝の過剰回内により足首が内側へ倒れ、7つの骨の配置が 崩れてしまった状態を指します。
一般的に骨と骨は筋肉でつながれています。しかし7つの骨は、筋肉ではなく靭帯でつながっています。それにより柔軟性が高く、配置が崩れやすいのです。
足首の崩れについては、靴業界にも知識が広がりつつあります。足裏のフットプリントをとってくれる靴屋さんでは、足首の傾きもチェックしてくれたりします。
誰かにカメラのシャッターボタンを押してもらえたら、自分でもチェックできます。軽く足を開いて立ち、真後ろの床にカメラを置いて、シャッターを切ります。
手首にもじゃり石があります。手根骨(シュコンコツ)。バイオリン・ビオラを弾くための大変重要な骨です。足根骨・手根骨・肩関節は、筋肉ではなく靭帯でつながっている、不安定な箇所なのです。
手足の骨の数は、足根骨や手根骨をふくめて1肢に25個余あります。四肢で100余。体全体の骨が200余なので、半分が手足の骨なのです。
ふつう体のトラブルは老いると出てきます。しかし過剰回内は若年層に多いそうです。私の祖母は、足首が外へ倒れていました。過剰回外です。私の母も足首は外へ倒れており、年配のかたに多い印象です。
③ 偏平足・開張足
偏平足(へんぺいそく)は、主に、足裏の縦アーチが崩れて平らになった状態を指します。開張足(かいちょうそく)は、横アーチが崩れて平らになった状態です。親指のつけねから小指のつけねの、いちばん幅広なところが、横アーチです。
足裏や足の甲には、ふくらはぎから足指まで、縦に走っている筋肉がたくさんあります。しかし足指の骨を横につないでいる筋肉は、ほとんどありません。そのため、横に広がってしまいやすいのです。
食べ物を手に入れるために、天敵から逃げるために、歩いたり走ったりすることが多かった時代には、それが好都合だったのでしょう。
100万年待てば、歩いたり走ったりしない生活スタイルに合った、痛くない足が、完成するかもしれません。
④ 外反母趾・内反小趾・タコ魚の目
横アーチが平らになると、外反母趾(がいはんぼし)・内反小趾(ないはんしょうし)になります。内反小趾とは、小指がわが外反母趾のようになっている状態のことです。
親指がわは第二関節。小指がわは第三関節。MTP関節(中足趾節関節)と呼ばれています。ここが出っぱると靴に当たって痛いです。そうなったら幅広の靴をはくと楽だ、というのが社会のコンセンサスになっています。
横アーチが平らだと、人差し指や中指のMTP関節も、床に当たります。すると皮膚が固くなり、タコや魚の目ができます。また長時間歩くと、足裏や甲の筋が痛くなります。
私も長いあいだ、開張足によるタコ魚の目に悩んできました。しかし、後述する靴の見直しにより、数年でタコ魚の目はなくなりました。
⑤ 浮き指・屈み指・巻き爪
タコや魚の目を、床や地面に当てまいとすると、浮き指や屈み指(かがみゆび)なります。
タコや魚の目がなくても、足指をおろすと、横アーチを更に押し広げてしまうので、体はそれを無意識に避けようとして、指を持ち上げます。
浮き指は、指をまっすぐ浮かせている状態。屈み指は、指先を曲げて浮かせている状態です。
指が浮くと、爪にかかる圧が減って、巻き爪になります。巻き爪は外科的な対処法がいくつかありますが、指が浮いたままでは根治しません。
また浮き指・屈み指は、重心がかかと寄りになるので、腰や上体に悪影響を及ぼします。靴屋さんで足裏プリントを取ってもらうと、指先が浮いているかどうか、よくわかります。
大工さんなど、指の腹に圧がかかる仕事をしている人は、爪が平らです。バイオリニストも手指の爪は平らです。(バイオリンが上手になりたかったら、ほっそりとした指先は諦めてください。)
人間の爪は、指先で押す力が入れやすいように、丸まろうとする、とも言えます。足指は、しっかり地面を押せるように、丸まろうとします。100万年待てば、丸まろうとしなくなる爪に・・。
(3)対策:体の使い方と、靴選び
足裏トラブルは、進行を抑えることはできても改善することはない、と言われています。それに抗って奮闘してきた経験・知識を(3)(4)で述べたいと思います。
私は30歳ごろ歯並びの矯正をしました。矯正中 歯の掃除を丁寧にしなかったため、器具を外したとき歯茎がかなり後退していました。「歯茎の後退は戻らない」と歯医者さんに言われましたが、丁寧に歯磨きをしていたら1mm以上戻りました。
人間の体の可逆性は、西洋医学で示されている以上にある。その経験を私は、日常生活やバイオリンを弾くことにおいて、沢山してきました。
① 体の使い方
自分の脚を観察してみると、案の定「回内」していました。靴屋さんでも、足首が内側へ倒れていると言われました。脚の過剰回内から足裏トラブルへ発展するとの説は、体の実感として非常に納得がいきました。
鏡の前で、膝を外&上へ向けようと意識すると、少し動かせました。それからは常に、膝を外&上へ向けながら、立ったり歩いたりしました。数年かかりましたが、足腰は変わりました。
外出時、壁面のガラスに映った人物を、自分と思わなかったこともあります。歩き方や立ち方が、記憶とあまりにも違ったからです。
お腹のなかの内的感覚も、ずいぶん変化しました。バイオリンが弾きやすくなったことは言うまでもありません。
膝の回内・回外は、体のほかの部位に比べ、変えやすいと感じました。いい方へ変わりやすいということは、悪化もしやすいということです。
膝を回内・回外させる筋肉は、股関節のまわりにあります。腹部の深層筋(インナーマッスル)の低下が、膝の過剰回内につながるのだと思います。
レッスンで一部の生徒さんに、膝の向きを変えることを試してもらっています。外側&上向きを同時にやるのは難しいので、「外へ向ける」「上へ向ける」を別々に指示してバイオリンを弾いてもらいます。
お1人、劇的に変わった方がおられました。彼女はそれまでにも、一見バイオリンとは関係なさそうな指示を素直に実行する方でしたが、その経験以降よりいっそう先生のヘンテコな指示に意欲的に取りくみ、ぐんぐん上達していきました。
1人でするときは、鏡に映してやると、膝の動きが客観的にわかります。脳への指令の出しかたに秘策はありません。意識で体のポジショニングが変わる経験をしている人ほど、やりやすいでしょう。
座るとバイオリンが弾きやすくなることがあります。座骨が体の底面となり、脚が体幹と関係なくなるため、改善するのです。
左:京都で作ったオーダーインソールの2足 右:大阪の外反母趾 専門店で買った2足
② 靴
◆靴の選び方
靴を履いている時間が長いなら、どんな靴を履くかが大切です。
既製品の靴を選ぶとき、わたしたちは足長(そくちょう)のサイズが合っているものを選びます。しかし、よりよい足にしたければ、足囲(そくい)のサイズも合っていなければなりません。
靴の足囲は、ワイズとも呼ばれ、ABCDEで表記されます。よく耳にするEEとかEEEというのは、Eより更に広いサイズのことです。
自分の足囲を空中で測ってみましょう。椅子にすわって足を組むと、1人で測れます。足指の付け根のいちばん幅広なところ、その外周が足囲です。親指の第2関節 と 小指の第3関節 をむすんだラインです。
空中にある足の形が、本当の足の形です。地面に着地したとき、衝撃で平べったくなる足の形を、崩さないように保護するのが靴の役目です。
足長に対する足囲の対比表は、ネット上にあります。私は足長が23.3cm、空中足囲が21cmなので、23.5Bになります。
実際に靴を選ぶとき、足長は大きめ、足囲はぴったりか小さめを選びます。足囲がゆるいと、靴のなかで足が横すべりします。また靴の足囲は、はいているうちにすぐ伸びてしまいます。
足囲がぴったりだと、外反母趾のでっぱりや、タコ魚の目にあたって痛くないか、心配だと思います。
実際に履いてみて検討してください。また痛みの種類を考えてください。
こすれることによる痛みなら、足囲がゆったりしているより、柔らかめの皮でぴったりしている方が痛くないはずです。
◆私の買った靴 失敗例
京都の専門店で、2013年に作ってもらったオーダーインソールの靴が2つあります。フィッター業界でも一目おかれている先生で、ドイツのオーダーインソール専用の靴が3~5万円、インソールが15千円でした。
インソール職人の多くがそうだと思いますが、「縦アーチの崩れたところをインソールでもちあげる」という考え方でした。しかし実際にできあがったものを履いてみると、とても気持ち悪いのです。
これは顎当て・肩当てに通じるものがありました。体のラインにぴったりフィットした肩当て・顎当ては気持ち悪いのです。
ガッチリした靴と、下からピッタリ来るインソール。足と靴のあいだに隙間があり、靴のなかで足が横ズレします。足囲は立位でE、選ばれた靴はEEでした。
体が治ろうとするのを後押ししてくれるような、履いていて足が生き生きとしてくる 靴や手法は、ないのでしょうか? その靴は、私の足をダメなものと見なしているように感じました。
その先生の店に行かなくなったあと、外反母趾の専門店で買った靴が2つあります。そこでも、立位による計測値はEで、EEの靴が選ばれました。
その後も靴ジプシーの放浪は続きます。
●「足の側面をしっかり支えてくれる靴がいい」と勧めてくれる靴の側面はしっかりしている(安物靴の側面はふにゃふにゃしている)が、靴と足のあいだに隙間がある。これは「足の側面をしっかり支えている」と言えるのか?
●「足の甲を止めてくれる靴がいい」と勧めてくれる靴は、ワイズが広くて、靴のなかで足が横ズレする。それを上からベルトではさんで止める。上下ではさむより、横からはさむほうが、止まるのでは? 横アーチがつぶれている足は、上下からはさまれると、ますます横長になるのでは?
●「靴のなかで足がずれない靴がいい」と、足長がワンサイズ下の靴を勧められた。ワイズはゆるい。
いずれも足を良くしたい一心で、買ってしまいました。
◆私の最近の靴
今年2020年も、京都伊勢丹の靴屋さんで測ってもらったのですが、立位でE。計測するのに「立ってください」と言われると、失望します。
膝や腰に不具合は無いのですか?と尋ねられるほどの足裏にもかかわらず、脚・腰は問題ありません。過剰回内を治そうと取り組んできたのですっきり感があります。
ワイズDのサンダルがあったので、少しは話が通じるかと思い、「もっと細いワイズの靴がほしい」と訴えたのですが、会話は平行線でした。
京都の髙島屋で出会った店員さんは、こんな話をしてくれました。海外の靴メーカーは、日本の靴メーカーと違い、足長ごとにワイズ展開している。しかし日本に輸入されるのは広いワイズのものだけ。日本では広いワイズしか売れないから。
2024年追記:いま一番合っていると感じているのは、大阪のセミオーダー タルガルガ の靴です。値段も高く、誰にでも勧められる靴ではありません。一長一短があります。そのうち記事にまとめたいと思っています。
③ 理解が深まる推薦図書
「足についての本当の知識」
水口慶高(よしたか)
足についての理解を深めたければ、この本です。京田辺市の図書館にあります。何冊か書いておられますが、1冊目のこれが読みやすいです。
水口さんは、足部/下肢における運動生成や病理のプロフェッショナル。トップアスリートのコーチングもされています。スポーツ医学の観点から、外反母趾や開帳足の問題に切り込んでおられます。
水口慶高さんのサイト
「その靴、痛くないですか?」
「痛い靴がラクに歩ける靴になる」
西村泰紀(たいき)
靴の知識を深めたければこれ。いずれも京田辺市・井手町の図書館にあります。
パンプス中心の説明ですが、日本で売られている靴の問題は、男性も子供も同じです。
(4)対策:その他
① スリッパ・室内履き
靴を履いていない時間が長いなら、スリッパ・室内履きが大切です。
室内でも外履き用のサンダルを使っています。足囲がきゅっ!として、足が横揺れしないサンダルです。ワイズが伸びるまでは素足で、伸びてきたら靴下を履いて使います。(2024年現在、タルタルガの品番1910が気に入っています。お勧め!)
スリッパは、SASAWASHI のサンダル風の「スリッパ」と、「ソフトスリッパ」を使っています。
これらのスリッパは底部の素材がよく、立ちやすくバイオリンが弾きやすい、と生徒さんにも好評です。京田辺教室へもわざわざ持っていくほどです。
室内では のしのし歩かないため、横アーチへの荷重は外出時ほどかかりません。浮き指や屈み指はおろしやすいはずです。意識を使って、辛抱強く、指をおろすように心がけています。
台所で立っているとき足指を上げていると気づいたら、そおっと降ろします。そして全身へ「ゆるみ」が波及するのを感じます。
② インソール
足裏のアーチは、足裏の下から何かで持ちあげても、戻りません。でもほかに有効な手だてがないので、多くの自称 専門家が、アーチを持ち上げるインソールを作ります。「持ち上げる」というコンセプトの道具は、体の可逆性(≒自然治癒力)を損なうこともあります。
西欧の足病医学にもとづいて考えられたインソールの中には、もっと本質的に足を治そうと考えて作られたものがあります。
スポーツ界の走る系で支持されている米国製「スーパーフィート」も そのひとつです。足根骨の一番上にある距骨と、下にある6つの骨のあいだ「距骨 下 関節(キョコツ カ カンセツ)」をサポートするという考え方だそうです。
スーパーフィートはプロアマ問わず 走る人に評価が高いようですが、通常の歩行に向くタイプもあります。
スーパーフィートを何種類か使った実感では、へたりやすく寿命が短いです。
靴底より小さめにカットするよう勧められますが、カットしすぎると指先が段差に当たって痛いです。小さくしすぎないように。
また硬いインソールなので(その硬さにも理由があるようですが)、タコや魚の目があたると痛いです。
体のパフォーマンスを上げる優れたインソールだと思いますが、病気といえる段階になってしまった足には向きません。
本質的に考えられたインソールは、スーパーフィート以外にもあります。日本で考案されたものも、現在ではあります。
※左の黄色は踵の高い靴用。中央が一般的なタイプ。右はパンプス用。
③ 足裏パッド
様々なタイプが売っている足裏パッドは、元々アーチを作りたい箇所に入れるものでした。私はそのようには使っていません。
●浮き指を下ろしたくなるところ・下ろしやすいところ
●体の可逆性が刺激される(感じのする)ところ
へ入れています。
横アーチ中央の1cmかかと寄りをパッドなどで持ちあげると、「親指の付け根の母趾球」「小指の付け根の小趾球」「5本の指」が下へおろせます。立ちやすく歩きやすく、腹部がすっきりと感じられ、意識が冴えてきます。
もう1cmかかとに寄ると湧泉というツボ。足裏がむずがゆくなったとき、自然と手が行く場所です。
パッドを入れて持ちあげるのは湧泉のツボあたり、との考え方が主流なようです。京都のオーダーインソール店の靴は、湧泉より更にかかと寄りが隆起していました。
わたしは仕事先でも靴を脱ぐことが多いため、靴の中ではなく、室内履きの中にパッドを仕込めないか考えてみました。ところが屋内で履くものは 靴よりゆったりしているので、履きもの側にパッドを入れても足裏のいい位置にきません。
そこで足裏がわに、シリコン製のパッドを貼りつけました。これならパッドの位置が動きません。貼りつけて、SASAWASHI のスリッパにそおっと足を入れると、いい具合です。
机でパソコン作業をするときは、足裏で青竹やゴルフボールを踏んで、足指がさがるよう意識しています。
④ テーピング
横アーチをテーピングにより固定して、開帳足を治す療法もあります。めっちゃ対処療法ですが、取り組んでいる医師もいます。症状が改善する事例も報告されています。テーピングに使うものは、治療用・スポーツ用で色々あります。
私が使っているのはスポーツ用の非伸縮テープ。夏以外の季節に、毎日 数時間~半日くらい。長時間やるのはかえって足に悪いと感じます。あるフィッターさんにも日常的にやるのは足の甲のすじを痛めると言われました。イラッと来たら時間に関係なくすぐ外すようにしています。
長靴で農作業するときは必ずします。長靴のなかは足が横にすべるからです。靴の中で足が横すべりすると「開張」を助長します。
テーピングの方法は、2021.10.10 バイオリンの弾きやすさと足の裏 に掲載しています。また外反母趾&弾力包帯のキーワードでネット検索すると、医療系の弾力包帯を使ったテーピング法が見つかります。
※左から 弾力包帯、フットケア医院のテーピング、スポーツ用テーピングとアンダーラップ、ニューバランスのサポーター、地磁場を補うガイアス足裏パッド
⑤ 5本指ソックス
5本指ソックスを試していた時期がありました。様々な布地や厚みの靴下を試しました。しかし無意識に脱いでしまうのです。不快なのです。
ただでさえ「開張」しているのに、指と指のあいだに布が2枚入るのは、「開張」を助長してるのでは? それで体がいやがるのでは?
外反母趾の専門店でそう言ったら、あなたの感じ方がおかしい、と返されました。
のちに出会った水口慶高さんに、その話をしてみたら、私と同じ考えを持っておられました。自分の感覚を信じなさい、と言ってもらえました。
開張足でない足に5本指ソックスは、体にいいと思います。