♫畳なのにスリッパを履く先生
井手町教室のレッスンルームは畳です。しかしなぜか先生は、いつもスリッパを履いています。そして玄関には生徒さん用のスリッパが。。「先生、スリッパを履いた方がいいですか?」と尋ねてくださった生徒さんもおられました。
スリッパが出ている理由は、自分が履いてるのに生徒さんには出さないの? と思うからであります。そして私がスリッパを履いている理由は、その方が足裏で全身を支えやすく、バイオリンが弾きやすいからです。
コンクリートを敷きつめ地磁気が半減した、体を動かさなくなった現代人には、足裏のアーチがありません。私も人並みに?ありません。
立っているとき自分の足裏を観察すると、踵に体重を乗せています。足の指はまるめています。足の指をムリやり伸ばして床につけると、人差し指の付け根の「中足骨」が床に当たって痛い。靭帯も押しつぶされて広がるのをイヤがります。
♫SASAWASHIのスリッパ
先生が履いているのは、SASAWASHI というメーカー のものです。芯材がよいので足裏のクッションとなってくれて、人差し指の付け根にも体重をかけることができます。天然素材でできていて肌触りがよく、足の指も喜んで伸びます。アクリル素材のスリッパだと、足裏の皮膚は触れるのをイヤがります。
SASAWASHIスリッパ唯一の難点は、皮脂の汚れをよく吸うので、度々洗わなければならないことです。(乾いていると強いのですが、濡れると弱くなるので、あまりゴシゴシ洗わないこと。)
しかしその快適さ比類するものがなく、足裏の快適さにはかえられません。エチュードミュージックアカデミー京田辺でのレッスンにも2足(生徒のと自分の)を持っていくくらいです。もう20年、スリッパはSASAWASHI一筋です。
♫足裏パッド
スリッパ以外にも、足裏に仕込んでいるものがあります。ジェル素材の足裏パッドです。
ジェル素材の足裏パッドは普通靴の中に入れるものなのですが、足裏に貼りつくし、靴下にも貼りつきます。これを貼ると、疑似の足裏アーチができて、スクッと立つことができます。
この立ち方に上体が慣れてしまうと、パッド無しに立っているときの上体のベチャッした感覚が、気持ち悪くなってきます。
ジェル素材の難点は、肌触りがよくないことです。そのため、家事などで動き回っているあいだ気にならなかったパッドも、食卓に腰かけると途端に違和感がドッと押し寄せて、即はがします。
生徒にも試しましたが、私より足裏アーチの状態が悪いと、辛くて付けられないようです。写真のパッドは分厚めですが、もっと薄いものも売っています。
♫足裏体操(?)
スリッパと足裏パッドは あくまで対処療法。自分の足裏にアーチがあれば不要な道具です。
大人の足裏アーチは戻らない、というのが通説ですが、諦めの悪い私です。足裏の筋肉や筋を鍛えるべく、しょっちゅう動かしています。なにもしなければ、足裏アーチはへたってゆく一方だからです。
・足の指を伸ばす
・アーチが欲しい足裏を、意識して動かす
・足首をよく動かす(歩くとき、椅子に座っているとき)
・お風呂のなかで手で強制的に動かす
こんなことをしています。何もしてなかったときと比べて、わずかに良くなってきました。
脚と足に関する師とあおいでいる水口慶高さんは、足裏アーチの崩れは足首から始まる、と言っています。
この説が正しいか、まだ実感としては分かりませんが、そのため足首もよく動かすようにしています。
水口さんを通して知った「膝の過剰回内」は、アスリート界でも定説となっているようです。自分自身の立ち姿や弾き方も良くなりました。「膝の過剰回内」は、ほぼ全ての生徒さんに改善の余地があります。効率的な教え方のパターンを見出したいと模索中です。
♫足裏アーチがあるとバイオリンが弾きやすい
バイオリンとはなんと弾きにくい楽器なのだろう、と多くの生徒さんが思ってらっしゃるでしょう。しかし体の余計な力みがなければ、バイオリンは弾きにくい楽器ではありません。
日本を代表するヴァイオリニスト大谷康子さんなどは、弾けば弾くほど元気になる、とおっしゃっています。バイオリンが弾きにくいのは、バイオリンの問題ではなく、体の問題なのです。
私は体が、特に右肩が時にとてつもなく痛いのですが、足裏アーチのなさも大きな原因だと感じています。
バイオリン教室の生徒さん全員の足裏を見せて?もらったワケではありませんが、一見して足裏に課題があると感じる方は少なくありません。足裏に課題があると、脚に出るので、立ち姿でわかるのです。
加齢により体は不具合が出てきますが、最近は若い世代にもさまざまな不具合が見られます。化学物質や電磁波などが影響していると思います。
日本は他国とくらべて、認知症や発達障害が桁違いに多いことはご存知でしょうか? 化学物質や電磁波の規制が桁違いにゆるいことは?
足裏のアーチは、「骨格で作る身体のフレーム」や「筋肉や関節の柔軟な動き」を支えてくれます。言い方を逆にすれば、「骨格で作る身体のフレーム」や「筋肉や関節の柔軟な動き」を体験したことのない体では、足裏アーチが崩れていることからくる気持ち悪さにも、気づけません。
30分立っていられない子供、立ち姿がへにゃんとしている子供が増えています。へにゃんとした姿勢では、バイオリンは上手にならないよ。と言っても、へにゃんとした姿勢しか体感していない子供には、自分の何がディスアドバンテージなのか分かりません。自分の体に課題が在ると感じられないことは、課題が在ること以上に危惧すべきことかもしれません。
バイオリンが上手に弾けるようになりたい!と思うことが、放っておけばいつか病気につながる身体や足裏の問題に気づくきっかけになり、予防となる。そうなってほしいと思います。
一般的に足裏のアーチは、10歳くらいまでに形成されるそうです。幼児の骨格から変化して、大人の骨格が完成するころあいだそうです。まだ間に合う年齢の生徒さんは、外遊びして足腰を使いましょう! もう間に合わない?生徒さんたちも、私の悪あがきに倣ってみませんか。
足裏について、もっと知りたい方は
2020.07.10 脚と足と、靴のはなし
足裏以外の体のことを学びたい方は
レッスンの引き出し 身体編
♫横アーチを支えるサポーター
足裏の崩れた横アーチを、疑似的に作る対処療法に、サポーターがあります。スポーツ用のシューズメーカーなどから販売されており、私もいくつか持っています。
弾力包帯という伸縮しにくい包帯で、患者さんの偏平足が改善した、と報告するお医者さんの本も読んだことがあります。さっそく弾力包帯を購入してトライしましたが、包帯の最後を止めるいい方法が見つからず、頓挫しました。
私が時々しているのは、登山が趣味の方から教えてもらったテーピング方法です。(上の写真)
スポーツ選手が手首や肘、足首や膝などを固定する、テーピングテープの非伸縮タイプ 25~38mm幅 のものを使います。直接 肌に貼ると粘着力が強すぎるので、アンダーラップテープ というものを下に巻きます。アンダーラップテープは破れやすいので2周くらい。テーピングテープも非伸縮といいながら伸びやすいので、2周近く巻きます。
金属フレームの鏡は、レッスンルームでもリビングでも使うので、週に何度も持ちあげて運びます。このテーピングをしている時は、鏡が軽く感じます。また、鏡をどこかにぶつけたり しにくくなります。
足に直接貼るテーピングテープも持っています。これは京都市内にある、ペディナースというフットケアのお店で買いました。オリジナル商品だそうです。
パッドもテーピングも、気持ち悪くなったらすぐ はずしましょう。長時間がんばるのは逆効果です。ゆるすぎても横アーチを助けてくれる効果がないので、貼るときのテープの引っ張り加減が大事になります。
♫横アーチを支える靴
靴を履いている時間は、靴が横アーチをギュッ!とはさんで作ってくれたら、こんなに楽なことはありません。
しかし残念ながら、日本にはそういう靴がありません。横アーチの部分はゆったりしている方が良いという誤った考え方が浸透していて、それに疑問を感じたり再考しようとする専門家やメーカー、消費者がいないのです。
上の写真は、私の持っている「ワイズB」の 横アーチを支えてくれる靴です。「支えてくれる」のですが、「歩きやすく」はないので、移動するときは紐靴などを履きます。バイオリンを弾くときだけ履きます。
2025. タルタルガの靴 coming soon
靴の中に入れるスーパーフィートというインソールも気に入っています。スポーツ界のランナー達に支持されています。底面が硬いので、中指の付け根の「中足骨」や魚の目が当たると痛いのが難点ですが、靴下を履けば大丈夫なのです。
それぞれの足裏に合った型(タイプ)を選ばなければならないのですが、少し大きめのスポーツシューズ店であれば取り扱っており、知識のある店員さんがいればどの型(タイプ)が合うか見てくれます。