バイオリン初心者さんの、目的別スケール練習 <左手編> と合わせて活用してください。
⑥以外は0 onlyでも練習できます。0だと左手の型によくないので、3 only(など)で行うこともあります。
1拍の速さは基本メトロノーム60ですが、課題によってはそれより速くしたり遅くしたりします。
メトロノーム60は時計の秒針と同じ速さです。メトロノームを使うより、秒針を見る方がお勧め。家にカクカク進む秒針の時計がない場合、新たに時計を購入してもよいくらい、お勧めです。
スケールの練習はまず①から始め、②④⑥⑦⑨はほぼ全員にしてもらいます。それ以外は、各人の得手不得手に合わせて、必要と思われる課題を出します。ここに書かれた以外のパターンをしてもらうこともあります。

①デタシェ 1弓1音1拍
真ん中を使って、いい音を出す。先端や弓元を使ってしまうときは、竿の真ん中シールを張り、必ずそこを通過するように練習する。
②ロングトーン 1弓1音2拍
弓の長さの5割以上を使う。2拍で5割使えなかったら、3拍にする。子供や若者は、ロングトーンを弾かせるだけで、右手首を返す動きができるようになる。
③ロングトーン 1弓4拍
小野アンナやフリマリーのスケール教本で、2オクターブや3オクターブを練習するときの基本的なやり方。弓先から弓元まで、弓が直角に引けていることが前提。直角に引けていない場合、⑤で矯正する。
全弓を一定の速度で動かす。竿に4等分の目印を貼ると、等速になっていないことがよくわかる。たいてい弓の真ん中でスピードが出て、両端でスピードが落ちる。端に向かうとき加速して、速度を落とさないまま折りかえす。
④デタシェ 弓の上半分・下半分
竿の真ん中にシールを貼り、そこを越えないようにする。
⑤デタシェ 弓先1/4・弓元1/4
⑥デタシェ 1拍で三連符
ПVП VПV ПVП
ドドド レレレ ミミミ・・・
⑦デタシェ 長い弓と短い弓の組合せ
ПーVП VーПV ПーVП
ドードド レーレレ ミーミミ・・・
1音につき3拍子で、二分音符+八分音符×2。または4拍子で、付点二分音符+八分音符×2。長い音を弾くときの弓づかい、短い音を弾くときの弓づかいの違いを、覚えるための練習。
長い音は長めに、短い音は短めに弓を使う。二分音符40cm・八分音符10cmという比率ではなく、二分音符が40cmなら八分音符は5cm。こうした弓づかいが必要とされるシーンは、曲の随所に出てくる。ちょうちょの出だし、ロングロングアゴーなど。
音程が変わったときの開始位置が、弓先・弓元の交互にあらわれる。八分音符を弾く場所も、弓先・弓元の交互にあらわれる。そのことが練習になる。
⑧マルトレ 1弓1音1拍
⑨連続マルトレ 1弓1音 1拍×2
ПП VV ПП
ドド レレ ミミ・・・
スケールではなく、きらきら星でしてもらうことも多い。その方が楽しいから。
弓を沢山使うことと、三拍子に慣れることを目的として、1拍×3をしてもらうこともある。
⑩マルトレ 長い弓と短い弓の組合せ
3拍子で四分音符+八分音符、および4拍子で付点四分音符+八分音符
Пー ПVー VПー ПVー
ドー ドレー レミー ミファー・・・
⑦と同じく、長い音は長めに、短い音は短めに弓を使う。弓を握っていると素早く折り返せない。弓は握って持つのではなく、引っかけて持つ。
こうした弓づかいが必要とされる曲は多い。幸せなら手をたたこう、第九の出だし、など。
ПП、VVが(マルトレではなく)スラーになる曲はさらに多い。雪やこんこん、ハンガリー舞曲第5番、モルダウ。以下のようにすると練習できるが、マルトレができればスラーはできる。
Пー ПVー VПー ПVー
ドー レレー ミミー ファファー・・・
ドー レミー ファソー ラシー
⑪スピッカート
デタシェ・マルトレは弦の上に弓を置いた状態から発音するが、スピッカートは空中から弓を落として跳ねさせて発音する。マルトレの弾き方をする時ON、スピッカートの時OFFなどともいう。アマオケで弾くのに必須の技術。
⑫ワンボウスタッカート
スズキ教本では5巻のカントリーダンスから、新しいバイオリン教本では3巻のダンクラから必要になる。まず⑨連続マルトレができなくてはならない。