初心者さんだけでなく、左指の置き方を見なおしたい経験者さんにも行ってもらうことがあります。求める精度を変えれば、どんな腕前の方にも使えます。
連番を打っていますが、レッスンでやる順番は生徒さんにより様々です。理解度が高ければやらない課題もあります。
2オクターブのとき中間のドを弾きなおす理由の1つは、調性感を失わないためです。ドを弾きなおさないスケールに安易に慣れてしまうと、弾いている途中で調が変わることがあり、変わっても気づかないことがあります。理由の2つ目は、偶数の音符群は ПVПV で弾くことを、体で覚えるためです。

①最初にやる、肉体的に一番楽なスケール
A線から 01230123 32103210
D線から 01230123 32103210
G線から 01230123 32103210
※3パターンのどれに重点を置いて練習するかは、生徒さんの肉体的な得手不得手をみて判断します。
※慣れたら、下りの途中の0は、4を使います。
<効能>
●0123で音が1つづつ上がり、3210で下がることが、理解できる
●どの指に移るときフォームが崩れるか、指摘に自覚することができる(何ができていないか自覚するには、具体性がいる。)
●音と音の間隔は、指がはなれている時と、くっつく時があると理解できる
②12341234で弾くスケール
A線から 12341234 43214321
D線から 12341234 43214321
G線から 12341234 43214321
<効能>
●3と4がくっつくため、小指が置きやすい
●123を等間隔で開く練習になる
●小指を早くデビューさせることで、フォームが整う
●ミファとシドは、指がくっつくと理解できる
●ミファとシドは、指がくっつくと理解できる
「ドレミファ」と「ソラシド」は、音と音の間隔が同じと理解できる
※3の指を、3のテープと4のテープの間に置くことになるため、思考に混乱が起きることがあります。 ①→②と進めない場合は、①②の間のクッションとなるスケール課題を課します。
③12341234で弾くスケール 第3ポジションで
すべて第3ポジションで
G線から 12341234 43214321
D線から 12341234 43214321
A線から 12341234 43214321
<効能>
●「ドレミファ」と「ソラシド」は音と音の間隔が同じで、指板の上のどこで弾いてもドレミファソラシドが弾ける理解できる
●左腕のフォームが良くなる
楽器の側面に当たるので、左手首を手前に折ることはできない
楽器の側面に当てることで、左手首を向こうに折るクセが直せる
※左のフォームを整えるための練習で、第3ポジションの練習ではありません。②より③を先にすることもあります。
④下りから始めるスケール
下りの0→3、また1→4を強化するのに、ドシラソファミレド ドレミファソラシド ドシラソファミレド と1往復半のスケールをします。
⑤4弦使った、2オクターブのスケール
G線から 01230123 30123012 <下り>21032103 32103210
※2オクターブのスケールは、1オクターブづつ、上がって、上がって、下がって、下がります。
1オクターブ上がったところの「ド」で止まり、再度「ド」から2オクターブ目を弾きます。
<効能>
●弦によって、2の指を置く場所に違いが出ることが理解できる
●弦によって2を、3に寄せたり1に寄せたりすることが理解できる
●いろんなドレミファソラシドがあると理解できる
⑥ハ長調のスケール 1オクターブ目
G線から 30123012 21032103
<効能>
●A線の2が高かったのは、シャープが付いていたからだとわかる
※ピアノの鍵盤を見てもらいながら、一緒に弾きます。
⑦ハ長調のスケール 2オクターブ目
A線から 23012344 44321032
<効能>
●E線の1は、シャープが付いていたのだとわかる(理解力があれば、D線の2についても説明する)
●0と1の間にも、音があったとわかる
⑧ハ長調のスケール フルコース
G線から 30123012 23012344 <下り>44321032 21032103 3210123
※2オクターブ上がって2オクターブ下がっただけでは、まだG線の012を使っていません。ドシラソとG線の0まで下がり、ラシドと上がります。
<効能>
●4弦✕4指 全箇所の、ナチュラルの場所がわかる
●楽譜を読んで、音を出すことが出来るようになる
知らない曲でも弾けるようになる
耳を使ってなんとなく弾いていた曲の、音程があやしい箇所を、自力でチェックできるようになる
※私の教室でバイオリンを始めた方すべてに、これをやってもらいます。ピアノをしていた、楽譜が読める、絶対音感がある、といった生徒さんは、早めにやります。
⑨上がるときは0で、下がるときは4
<効能>
●0=4だとわかる
※2年生から5年習ってスズキ3巻を弾いていた子が、0=4が理解できていないと判明したことがあります。油断禁物。基礎練習をイヤがるので、スケールはあまりやらせていませんでしたが、やっぱり大事でした。
⑩フラット系の長調のスケール
<効能>
●1が下がるのはE線だけでないとわかる
●どの指もだんだん下がってくると分かる
●調号を見て、左指を置く場所のイメージが作れるようになる
⑪長調のアルペジオ
⑫短調のスケール
※長調が、脳と体にしっかり入ってから、行います。
⑬ピアノ(鍵盤楽器)でスケール
ハ長調→ト長調→ニ長調→イ長調→ホ長調→ロ長調 →ヘ長調→変ロ長調
※ト長調のスタート位置が、バイオリンの最低音になる音域で行う。
※左指で、ピアノの運指で行う。ピアノの指番号で、上りは54321321、下りは12312345。
※シャープを0個から1つずつ増やしていき、シャープ5個(黒鍵を全部使う)で停止。その次はフラットを増やしていきます。
<効能>
●バイオリンでスケールの基礎練習をやりたがらない子も、遊び感覚でできる。バイオリンで同じ音を出してみよっか、と言って、弾かせる。
●根音が五度づつ変化するのがわかる。バイオリンの弦は五度違いだとわかる。