12/10(水)
それぞれの生徒に合ったモノの言い方は、何週間か、はたまた何か月かレッスンすることで発見していけるのだが、中には時間のかかる生徒もいる。コユちゃんは1年近くかかった。けれどこのところ、明らかに変わってきた。
まず、バイオリンで曲を弾くのが楽しい、と思うようになって来たみたいだ。お母さんに連れてこられて習いはじめたときは、楽しそうには見えなかったので、先生はどうしたもんじゃろと悩んでいた。
4分音符と8分音符など、異なる音符が混じるとリズムが取れず、その見た目だけで、脳みそが拒否するようだった。それが、易しい読譜を丁寧に繰り返していると、だんだん分かってきた。落語の「まんじゅうこわい」のようだったのが、「まんじゅうは美味しかった」になった。
京都堀川音楽高校のイベントに参加するまでになった。これは毎年京都で行われている、豊嶋泰嗣さん音楽監督の「Music Fusion in Kyoto音楽祭」企画のひとつで、音高の学生たちと一緒に「花は咲く」を弾くという内容だった。これまでレッスンで、自分から喋ることの殆どなかった子が、花は咲くの楽譜を以って「先生、ここはどう弾くんですか?」と質問してきた。

12/18(木)
木工作家の友人に頼まれ、滋賀県高島市へ竹の伐採の手伝いに行った。彼女は土壁の家を建てている最中。土を塗りつける基材となる、竹小舞を編むための竹も、竹林から切り出している。
子供向けの木工ワークショップに、バイオリンを習っている子が来たことがあるそうだ。ノコギリの使い方が上手で、初めてなのに真っすぐに切れた。その子は「自分はバイオリンを習っているから、体の使い方が上手なんだ」と言ったらしい。
12/26(金)
先生にとって当たり前でも、生徒にとってはそうでないこともある。
奈良から不定期で通ってくるムラさんの思考もかなりユニークだ。ピアノを5年ほど、バイオリンをヤマハで5年ほど習ったのち、私の京田辺教室に来るようになった。大人の初心者さんとしてはかなり上手な方で、おとあわせ会でユーモレスクも難なく弾いた。
ムラさんの「ハ長調のハって何ですか?」という質問をきっかけに、レッスンのなかで楽典講座が少しづつ始まった。まず音名が3種類、ドレミファソラシド と CDEFGABC と ハニホヘトイロハ があることを知ってもらう。
ピアノを使い、シャープ0個のスケールは、白鍵だけで弾けることを説明。シャープが1個増えると、白鍵が1つ黒鍵になること、そして「ド」の位置が変わることを説明。
ここでムラさんから質問があった。「シャープ1個は、ファ以外のところに付くこともありますよね?」
私は、ト長調(シャープ1個)の楽譜を指さして言った。「ここ以外に付いているのを見たことがありますか?」
「ないです。そこに付くのは、初心者向けの曲だからと思ってましたが」
「わかりました。ここ以外に付いている曲を見つけたら、教えてくださいね?」

旭堂のホール入口
1/11(日)
京都の寺町二条の旭堂楽器店へ、室内楽塾 の聴講にゆく。今年から石上真由子さんが講師に加わっていて、一段と内容が充実していた。
今年はシューマンのピアノ四重奏曲、ブラームスのピアノ四重奏曲 第3番、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲 第2番、ブラームスの弦楽五重奏曲 第1番。たいてい金・土・日の3日間、朝10時から夜まで、1曲2時間半づつくらいのレッスンがある。
先生がたと生徒の弾き方の違いを見ていると、まず股関節が柔らかい。それから頸椎を固めていないので、強い音を弾くとき首元が揺れる。加齢により一度固まった体をゆるめるのは難しい。けれど若いころ全くゆれなかった私の首でも、体を変えていったら、以前より動くようになった。
短い休み時間、廊下のソファでパンを齧っていると、音楽監督の大山平一郎さんが声をかけてくれた。毎年来ているので顔を覚えてくれているのだ。嬉しい。
1/15(木)
奈良市の音声館へ、発表会の打合せにゆく。
芝居系のイベントに使われることの多いホールで、照明・音響の操作に多くの選択肢がありめんどくさい。例えば客席灯など、1つのフェーダーで明るさを調節するだけ。とはなっていない。舞台上の明るさもでこぼこがある。客席は桟敷席にもできるようになっていて、ホール全体が土足禁止だ。
規模や設備のわりにホール代が安く、参加費を抑えられると選んだが、でもピアノはスタインウェイ。響きが良くないと聞いているが、響きが許容範囲なら申し分ない会場だ。

音声館の玄関ホールにあるピアノ
1/18(日)
発表会のピアノ合わせが始まった。難易度の高い曲に挑戦する生徒が多いが、みなよく健闘している。
1/23(金)
難易度の高い曲に挑戦している1人がソウくんだ。というより彼は、曲の難易度と、自分の実力をわかっていない。実力に合っていない曲は却下する先生も多いが(特に易しすぎる場合)、ウチは生徒が決めた曲を弾いてもらうことにしている。今の子供たちは、殆どのことを「大人に決められてしまう」世界に生きているからだ。
彼はまだスズキに入っていないのに、ユーモレスクが弾きたいというので、いきなりスズキの3巻を買った。その頁しか必要ないのでコピーを渡してもいいのだが、覚悟を決めてもらうためにスズキ教本(値段が高いのだ)はできるだけ買ってもらう。
ソウくん一番の課題は姿勢だ。体の感受性が高いのだろう。学校でも椅子からずりおちそうな姿勢で授業を受けているらしい。この世界(発病を促す化学物質だらけ・人工電磁波だらけ)でシャキッとした姿勢でいろと言うのも酷な話だ。
レッスンとは先生が助言をする場だが、ソウくんは助言を素直に受け入れない。大人の発言にたいし、「ほんとかな?」というのが彼の脳裏にはまず一番に来る。やりにくい子だ。と思ったが、これを彼の長所ととらえることにした。「試してみて、いいなと思ったら、採用してね(採用するか否かは、あなたが決めるのよ)」という言い方をしている。
今日の助言は「背骨の両脇に起立筋がある。右は力が入っているが、左はへにゃっとなっている。左にしっかり力を入れる」「左の上腕を持ち上げたくなるのは、起立筋に力が入ってないから」。
ソウくんの体は必死に格闘しだした。生徒の体が格闘するとき、それが良くない方向と思えば止め、良い方向だと感じれば続けさせる。ソウくんの体は辛そうだったが、曲の最後まで弾ききった。
先生「座ってよし」
母上「その言葉、初めて聞きました(笑)」
ソウくんはレッスンの最中 座ってしまうことがよくある。先生は「座らない!」を頻発している。習い始めて3年目だが、彼は今回の挑戦で大きなものをつかむだろう。

1/27(火)
枚方市のバイオリン工房へ、弓の毛替えと皮の張替えに行った。弓を使用していると、親指や人差し指があたっている箇所の皮がすりへってくるので、時々皮を貼りなおさないといけない。
弓の手元の造作は、弓によって色々である。理由のひとつは、弓の重さ・バランスの調整を手元でするためだ。(量産品はかような調整はしないので、どんなバランスであっても造りは一緒。)
私の使っている弓は、銀線が2種類用いられている。通常見られるくすんだ銀のラッピングは、絹糸に銀をコーティングしてあり軽い。私の弓は、異なる材質の銀で巻いてある箇所がある。手元を重くするためだそうだ。2種類の銀は分厚さがちがうため、薄い紙を挿入して高さ調節し、その上に指がすべらないよう・銀が汚れないよう皮が巻いてあった。
作業に切りのついた大島さんが「これ値段のわりにいいんですよ」と渡してくれた楽器。20-30万円くらいのもののようだった。実のところ、生徒がよく買う価格帯(数万円~十数万円)と、自分の楽器と比較できる価格帯しか、値段が妥当かどうかよくわからない。アースミュージック や グリガGems よりいいかな、という程度の感想だった。
私がひとしきり弾いたあと、「これもっと良くなるんです」と大島さんは駒のあたりをジッと見つめると、指でトントンと叩いて駒の位置をずらした。「どうぞ」と渡されて弾いてみたら・・まろやかな音色に変わっていた。魂柱に対する駒の位置を良くした、とのこと。盗めるワザは盗むのだが、今回のは難しい。
2月からドミナント弦がかなり値上げとなるそう。節約するなら何がお勧めか尋ねたら、ヴィジョンだと言う。いつも弦を買っているタツノヤ商会のサイトを見たら、ドミナントのセットは売り切れていた。がーん! ドミナントプロのセットも品切れ。ドミナントプロのバラ売りと、ヴィジョンソロのセットを買ってみることにした。(買ってすぐドミナントプロを使ってみたが、値段なりの良さは感じなかった。)

肩甲骨を閉じてしまう姿勢のスイちゃん
1/28(水)
子供たちも大人たちも体が動かせていないが、その認識がない。そして加齢により、痛みや辛さの症状が出てくる。
今日1人目の生徒さんの悩みは50肩。彼女の体の課題は、手を使おうとするとき胸までセットで動かしてしまうこと。だからバイオリンを弾くため、楽器を左手で持ちあげ、右手で弓を持ちあげると、胸部も一緒にあがる。これはバイオリンを弾くときだけ注意しても治らない。日常生活の動作から変えていく必要があり、その方法をアドバイスする。
2人目の生徒さんは、10年前レッスンに通いだしたころから腰が悪い。それでも10年前よりは随分良くなった。今日は外で歩く練習をした。脚を後ろから前へけり出すときに、太ももを内側へ回転(内旋)させるクセがあり、上体が支えられず へにゃっとなっている。膝を外側へ向けるよう意識してもらったら即変化があらわれた。
体のクセの修正をコツコツ続けるのは難しいが、それができればバイオリンが上手になり、健康になり、美容によく、お金も時間も節約できる。
1/30(金)
2回目のピアノ合わせ。スイちゃんがぐだぐだだ。(あんた一週間なにしてたの?)と先生の怖い顔に、本人はキョロンとした悪びれない様子。萎縮するよりはいいけれど。かわりに背後でお母さんが恐縮している。おそらく練習しなかったのだろう。来週は6日(金)、7日(土)と2回レッスンを受けることになった。
2/6(金)
さてスイちゃん、(このままだとどうなるか知らんで)という先生の目力に危機感を感じたのか、しっかり練習してきた。
一向にゆがんだ姿勢を直さないソウくんも、発表会でいいところを見せたい気持ちはいっちょまえにあり、先生の提案を以前よりは素直に聞く。今日は左脇腹をぐにゃっとさせない自分なりの方法を見つけたようだ。

左脇腹、気をつけましょうね。。
2/7(土)
最後のピアノ合わせ。10月のアンサンブルレッスンでも気づいたが、生徒が室内楽がヘタでびっくり。独奏だけ、オケ(管弦楽)だけのレッスンでは漏れがある、という事実がよくわかった。
独奏だけやってきた生徒を室内楽上手にしたレイくんの事例がある。ホーマンを用いると学びやすいのだ。今年のレッスンにおける重点課題にしよう。
2/11(水・祝)
奈良市の音声館にて発表会。ソロに果敢に挑戦した生徒もえらかったが、アンサンブル参加だけの生徒もぴったり合わせてきた。音楽に向かない会場との評判を聞いていたが、デットなのではなく、音が割れてまとまらないと感じた。サイズ的にはぴったり、運営もやりやすかった。お手伝いの生徒さんたちもありがとうございました。
2/13(金)
発表会から2日後、ソウくんは教本の次の曲をちゃんと練習してきた。自分自身への向き合い方に変化が見られる。楽屋でハルくんが習いはじめて半年と聞いたらしく、オレは3年目だからそう簡単には追いつかれないぜ、と肩で風をきりながら帰っていった。
2/20(金)
さてソウくん。先生!次の発表会はいつ? 次は9月におとあわせ会(合同レッスン)だよ。オレこの曲やりたいんだ! と取り出したのは手書きの楽譜。耳コピーで起こしたらしい。音源を聴かせてもらい添削すると、結構合っている。「子供のためのバイオリン教室 下巻」の指番号を、すらすら弾けない譜読み力なのに。
わかりました、9月はその曲をやりましょう! 毎回ピアノの先生泣かせの選曲である。
2/22(日)
「子供のためのバイオリン教室 下巻」のシェリトリンドという曲で一時停止している子供が2人いた。今日ヒカリちゃんは2回目のレッスンでほぼ楽譜通り弾けた。リズムの崩れる箇所を直されて、楽譜通り弾けたあと、先生に聞かれる。「この曲は好き?いまいち?普通?」
ヒカリちゃんは黙っている。先生の三択質問のあと何が起こるか知っているからだ。
「好きなのね。じゃあもう1回ね」(ガ~~ン inヒカリ)
先生の更なる直しが始まる。①左4指をもっと使う ②ボーイングは書かれた通り ③左上腕と顎の方向をシンクロさせない ④両脇を縮めない
もう1人スイちゃんは「好きじゃない」と答えた。先生はあっさり次の曲へ。雰囲気をつかんだ弾き方をしていたので、好きかと思ったが、そうではないようだ。

練習通り弾けたヒカリちゃん。音楽力・平常心がある。
2/23(月)
一代目の木製譜面台の、2回目の修理を自分でした。土台(ベース)の部分の木が割れてぐらぐらしていたが、固定することができた。またしばらく使えそうだ。
1回目の修理は、オオタ工務店に引戸の調整にきてもらった際、ついでにしてもらった。この時は、譜面置きの傾きがぐらぐらになっていたのを固定してもらった。オオタ工務店は井手町にある社員数人の小さな会社だ。ここの若社長は従業員のことを「この子」「あの子」と呼ぶ。「この子はうんたらかんたらで、あの子はほにゃららなんです」という具合だ。「子」と言っても若社長と歳の変わらない、中年のおっさんたちである。
一代目の木製譜面台は実家から持ってきたもので、1回目に壊れたときクロサワバイオリンで二代目を買った。しかしこれは1年経たずに壊れた。直すことはできそうにない。そう考えると一代目は優秀だ。木製譜面台に限らず、家電製品・台所用具・文房具・すべからく工業製品は、ひと昔前のほうが品質がいいと感じる。
2/24(火)
京田辺市のT楽器店に習いに来ていたトシさんから連絡があった。今習っている先生が、よく生徒と一緒に弾くのが、イヤだと言う。①我慢する ②習うのをやめる ③イヤだと伝える 三択しかない。
一緒に弾いて欲しくないと伝えてはどうですか?とアドバイスしたら暫くして、先生に言うことができた、先生は一緒に弾かないよう気をつけてくれるようになった、という報告が来た。
私も昔先生に、音楽的なことを習いたいのではなく、体の使い方を改善したいので、そうした指摘をして欲しい、と頼んだことがあった。先生は、頼んだ日は私の希望に近いレッスンをしてくれたが、その次から元に戻ってしまった。
トシさんは「先生が一緒に弾いていると、自分をちゃんと見てもらえていない気がする」と言う。鋭い。私が生徒と一緒に弾かないのは、一緒に弾くと、生徒の「何が出来ていないのか」がわからないからだ。
プロを育てる音大の先生で、生徒と一緒に弾く人なんかいないでしょ? 生徒と一緒に弾いたほうが上達するなら、音大の先生だって一緒に弾くでしょうよ。生徒を本気で本質的に上達させようと考える先生は、相手が子供だろうが初心者だろうが一緒には弾かない。
しかし「何が出来ていないのか」を、先生から見られたくない生徒もいる。「本質的に上手になりたい」とは思っていない生徒もいる。そうした場合、やることがなく一緒に弾くこともある。私の生徒ではないが、「先生が一緒に弾いてくれると、自分も上手になったような気がして楽しかった」という人もいた。

3/10(火)
以前からそうだが最近とみに、仕事をしている時間が楽しくて仕方がない。とくに生徒のこと(あの人はどうしたらウマクなるだろう?)を考えている時間が1日のなかで一番楽しい。
会社員をしていたころ、お給金はイコール我慢料だった。耐えに耐えて仕事をしていた。心と体をこわし、一般的に安泰とされる軌道から落ちて、バイオリンを教えることを始めたとき、こんなに楽しくて代金を頂戴してよいのだろうか?と思った。「楽しくてはいけない」「楽しいのは厳しい修練や勉強が足らないからだ」という発想は一体どこから降ってくるのか!? なにか違うぞ、と思いながら、抜け出すのに暫くかかった。
3/14(土)
6月のアンサンブルレッスンのパート割り、レッスンビデオ撮りを進めている。ビデオ撮りは面倒なのだが、それをすることによって自分の悪い姿勢に気づくことができる。またビデオ撮りをすると、生徒たちへどう助言すればいいか整理できる。
今回は自分の右上腕が、内旋ぎみになっていることを発見した。日頃生徒に右上腕は外旋ぎみにするよう口をすっぱくして言っているのに。灯台下暗し。自分の姿を外側から見れたらいいのに、ウチの生徒たちは、私の眼に見てもらえてなんて幸せなんだろう、と心底うらやましい。
3/16(月)
今日はアルプラザ京田辺の十字屋さんへ。レッスン前に、エトピリカの演奏のビデオ撮りをした。先生1人づつの記事を投稿するのだと言う。たぶんインスタグラムと思う。

