長くしまってあったバイオリンのケースを久しぶりに開けたら、弓の毛が何本も切れていた! ボロボロになっていた! ということがあります。久しぶりではないのに、古い弓の毛ではないのに、不自然に弓の毛が切れることもマレにあります。それは虫が原因です。

♫一般的に切れるのは

①弾きかたが雑なとき
弾いている最中に切れるなら、弾き方に原因があります。そのときは気がつかず、次にケースを開けたとき切れていることもあります。
切り口は、斜めにさけて引きちぎられたようになります。切れる箇所は一律ではありません。
☆ひんぱんに切れるようなら、運弓を見直しましょう。

②くさびの当たりがキツイとき
弓の毛は、スティックの両端で、木片のくさびにより抜けないようになっています。弓元は2点で止めており、弓先は1点のくさびで止めています。毛が抜けやすいのは弓先で、そのためキツ目にくさびを入れがちです。だから切れやすいのは弓先。ティップの境目で毛が切れることがあります。
弓元は、半月リングの裏側をのぞくと止めているくさびが見え、フロッグの中もくさびがあります。弓先は見えませんが、毛の裏側のティップの中に、くさびが入っています。
☆何本か(何十本か)切れてくさびがゆるめば、自然と切れなくなります。バーコードのような歯抜け状態にならなければ沢山切れても支障ありません。

①ケース内でなにかに当たったとき
弓の毛が、アジャスターや肩当てなどに当たると、切れます。
☆当たらないよう布を入れてましょう。

♫虫にかじられたときの切れ方

弓の毛の途中で、同じ個所で何本も切れます。切り口は斜めではありません。
虫の卵は見えません。卵のサイズと色のせいでしょう。成虫になると見えます。生徒さんの弓元の毛に、しがみついているのを発見したことがあります。
よく起きるのは何年もしまってある弓ですが、新品でも起きることがあります。馬の毛の洗浄が十分でないと卵が残りやすいので、分数バイオリンの弓や、安いセットバイオリンの弓で起こりがちです。買って間もなければ、購入した楽器店で毛替えし直してもらえるでしょう。しかし購入から2年後に起きた生徒さんもおられます。

♫虫にかじられたときの対処法

虫が出てしまったら
・毛替えする(毛束ごと虫を捨てる)
・ケース内に掃除機をかける 
・消毒液をシュッシュッする
・天日干しする

掃除機、消毒液、天日干しは気休め程度とお考えください。

♫バイオリンを長くしまうときの予防策

しまいっぱなしの前にできる予防策は、ありません。大事な弓ならば、しまいっぱなしにせず時折取り出して使うのが、早期発見もできるし良いのではと思います。