京田辺の友人のインコ、ウメちゃんを5泊6日預かることになった。うちのセキセイインコ ミクよりかなり大きい、キンショウジョウインコという種類の鳥さんです。
飼い主さんは、うちのセキセイインコのミクと故ラナを何度か預かってくれていて、ウメとミクは仲良しです。またウメちゃんは一度うちに来たことがあり、そのときの態度が落ち着いていたので、今回預かりさんに任命されました。
さっそくウメちゃんの籠に侵入したミク
●木曜の昼前に連れてこられたウメちゃん。何種類かのシードのほか、白菜・大根菜・リンゴ・どんぐり・南天・木の実など沢山のおやつと一緒に来ました。飼い主さんの愛情がうかがいしれます。
飼い主さんの実家に連れてかえると緊張してご飯を食べなくなるそうですが、うちではご飯も食べ、鳴くし、飛ぶし、羽繕いもします。ミクもそうですが、鳥はリラックスしないと羽繕いはしません。
飼い主さんが帰ってもウメちゃんはくつろいでいて、ミクとくちばし同士でツンツンと再会の挨拶をしました。
ひいよ、ひいよ、と優しげな声で鳴きます。しばらくすると、くるるる、くるるる、と違う声で鳴き出しました。女の子なので鳴き声も小さく、穏やかな性格です。自然界でオスは、メスに選んでもらう立場なので、鳴き声や動作が多彩で活発です。ミクは典型的な音の子ので、手がかかります。
ウメちゃんは声は小さいのですが、羽音がすごい大きいです。彼女が飛んだりぶるぶるをすると、私もミクもビクッとします。
体が大きいので、ウンチや、食べ散らかしたエサも大きいです。ふかしたサツマイモを手からあげたら、ぼろぼろ落としながらぱくぱく食べてくれました。食いしん坊のミクは、ウメちゃんのカゴに勝手に侵入して、おやつを食べています。広々としているのが気に入ったようです。
ウメのごはんをぱくぱく。
ウメはミクの籠が好きなのですが、どうやら籠についている鈴に興味があるようです。4種類ある鈴を順番にかじっています。南天の実くらいの大きさの鈴を、どんぐりのように砕こうとしているので、慌てて取り上げました。ごっくんしたら大変です。
夕方になり日が暮れだすと、ウメちゃんが挙動不審になりました。どうしたのかな? しばらく観察して理由がわかりました。いつも天井の梁が寝場所なのですが、ここには「梁がない!」と焦っているのです。飼い主さんは籠の中で寝ることもあると言っていたので、籠に入ってもらうしかありません。暗くなっても入ってくれなかったので、むんずと捕まえて、ウメちゃんが??となっている間に籠に入れました。
籠に布をどれくらいかけるか。ミクは真っ暗にしてあげるのですが、ウメちゃんはリビングの上の梁で寝ているということなので、真っ暗でない方がいいでしょう。飼い主さん宅の夜のリビングの様子を思い出して、布をかけます。うちの和室は蛍光灯ではなく、ダイクロハロゲン電球(白熱灯)のスポットライトなので、ギャラリーのような暗めの温もった雰囲気です。
飼い主さん宅にテレビはないので、テレビはイヤホンで見ました。
●金曜日はこれまでで一番の冷え込み。夜中に何度か目がさめてウメちゃんの様子を伺いましたが、今日も元気そうです。
ミクのごはんを一時的にウメちゃんの籠の上、ウメちゃんの目の前に置いたら、ウメが食べだしました。ミクがあれっ?って顔をしています。ミクは仕方なく?ウメちゃんの籠に再び侵入して、稲穂をカジっています。
ウメはひとしきりご飯を食べると、和室を中をぐるぐる飛び出しました。体を動かしたいようです。和室だけでは狭いので、隣の洋室との間をあけはなします。(さむい!) 知らない部屋に警戒しないよう、ミクをおとり?にしたら、すぐ洋室へも行きました。和室と洋室をぐるぐる飛んで居心地のいい場所をさがしているようです。
最後に落ち着いたのは、ウメのために用意した、和室の角の長押(なげし)にかけた止まり木でした。我が家のなかで一番、梁に近い場所といえます。縁側のえもんかけ(衣服(着物)をかけるための道具)に止まるのも、お気に入りです。
ウメはミクと違い、籠から出ていても家事や食事の妨げになりません。籠にあまり入らないのでそのまま昼食をとっていると、肩にとまりました。汁の実からレンコンとニンジンをかじらせてあげました。
午後になると和室をぐるぐる飛び出しました。ときどき運動したいようです。洋室も開けたのですが和室だけを飛び回ったあと、長押の止まり木に落ち着きました。ここに止まるときはいつも片足で、尻尾がすんごい開いています。止まり木の位置に合わせて、下に新聞紙をひきます。
今日は京田辺の同志社前でレッスンで、3時には出かけなければなりません。しかしウメちゃんが籠に入らない。出かけるときウメちゃんを籠に入れる定まった手法は無いようです。おやつで興味を引いても籠に入ってくれない。飼い主さんも諦めて出かけることがあるそうなので、私も縁側を閉めて出かけました。和室に危ないものはないはず。それでも心配です。
夜8時に帰宅。長押に止まっていたら、もうそのまま夜を明かしてもらうしかないと思っていましたが、昨日と同じく籠の上にいました。暗闇でむんずと捕まえますが、脚でしっかりと籠を掴んで離しません。一度キャッチしといて中途半端に離すのはよくないので、何度かゆさぶって引き離し、籠に入れました。ウメちゃんごめんね。
部屋の電気をつけると、南天の実の皮など床に食べクズが散らばっていました。ごはんは食べているようです。
●土曜日の朝、うす暗いなかウメちゃんの布をはずすと、ウメは少しびくびくしているようです。昨夜捕まえられたのが怖かったのだと思います。ミクも出すと安心したのか、ひいよ、と鳴きながらごはんを少しつまみました。
リンゴの薄切りを差し出すと、急に目が輝いて右往左往しだしました。なにかを訴えています。扉を開けると飛びだしてきて肩に止まりました。お外へ出たかったのです。長押に上がって毛づくろい。ご機嫌が直ったようで、くるるると鳴いています。
お腹が満たされるとぐるぐる飛びだしました。体を動かしたいようですが、和室のスペースだけでは直径2mくらいの円でしか飛べません。まだ7時だよ寒いよ、と言いながら縁側を開けました。お部屋が明るくなって、えもんかけにも行けて、嬉しそう。
明日は終日いないので、今日はできるだけのことをしてやろうと思います。まず二羽の籠掃除。和室のレイアウトの手直し。そして庭に出て、長さの取れる枝の木を伐りました。洋室に梁っぽい場所を作ってやるのです。和室と縁側を飛びまわるだけでは十分な運動になっていません。洋室になかなか行かないのは、居心地のいい止まれる場所がないからでは、との憶測です。
午前中の最後に、12年レッスンに通ってくれている生徒が来たので、レッスンのあとウメを紹介しました。彼女も動物が大好きで、メイちゃんという猫の飼い主さんです。
午後になるとウメちゃんは、また梁を捜しだしました。ここはいつものお家ではないことが分かっていると思うのですが、それでも梁を捜さずにはおれないようです。身の危険を感じたときに出すような、鋭い鳴き声も何度か発しました。洋室の本棚の上、昨日ウメが一瞬止まったところに梁もどき(庭の木の枝)を設置したのですが、今日は全く洋室へ行きません。
数時間 梁を捜して、少し疲れてお腹がすいたのでしょう。籠のなかにオヤツを置くと、すんなり入ってくれました。小鳥を飼っていて、鳥は犬より猫に似てるなあと感じていたのですが、環境(家)に安心したりストレスを感じたりするところが、やはり猫っぽいです。飼い主さんは必須ではないみたい。。それはうちのミクも同じか!
ウメちゃんはとっても可愛いのですが、じっと目を見ていると、私とは違う種族なんだな、意思疎通は難しそうだな、と思います。ミクとも意思疎通は難しいです。まったく言うことを聞きません。けれどたまに鳥族のなかにも分かりあえる感触のある子がいて、先日天に召されたラナなんかはそうでした。その前の文鳥のミユは、もっとそうでした。ミユはまるで人間の子供のようでした。
梁の問題を除いてお昼間は、ウメちゃんは落ちついて暮らしているように見えます。夜寝るときが、おうちの環境とかなり違っていてストレスを感じているようです。
いつもミクは私の枕元で寝るのですが、ウメちゃんの隣で寝てもらうことにしました。2つの籠をくっつけて間に布は入れないで、互いに見えるようにしました。
●日曜日、今日は終日神戸のアマオケで仕事です。朝飛ばせてやりたいのですが、籠に戻ってもらうことが難しいので、今日は出しません。ミクだけ出すと「あの子だけ出してもらってる・・」とウメが思うかもしれないので、ミクも出しません。
寒いのですが縁側を開けて、籠はお昼間の定位置に。夜の灯りをどうするか迷ったのですが、点けていくことにしました。ダイクロハロゲン電球のスポットライトをウメの籠には直接当たらないよう、部屋の遠くのほうが明るいよう家具の場所を工夫します。ウメが寝るときは頭上が暗くて足元が明るいので、籠の上に少し布をかけていきます。二羽のお水とごはんとおやつをセットして、8時前に出発。
室温と明るさは大丈夫だったろうか、と気をもみながら7時前に帰宅すると、部屋のなかはこうこうとしていました。ウメちゃんのおめめもぱっちり。明るすぎたねーごめんねー。でも真っ暗闇で2時間のあと、またお部屋が明るくなるってのもね。
静かに布をかけて夜のレイアウトにする。眠っているウメちゃん、ちょっと尻尾が細くなってるかも。。
●翌朝、外がしらけてくると、くるるる、とウメが小さく鳴き出しました。籠から出してやると嬉しそうに飛びます。狭い室内でじぐざぐに飛ぶのが上手になっています。ごはんとおやつもバリバリ。縁側も行ったり来たり。梁はどこ?も朝からやります。ひとしきり騒いで満足すると、定位置の梁もどきへ上がって、尻尾をうちわのように広げて毛づくろいを始めました。
ミクにとって全く出してもらえなかった日、というのは滅多にありません。そのせいかまとわりつきます。家事をしたくて指から降ろそうとすると怒ります。ちょっとは必須なのかしら、と思いました。ウメちゃんも、ああ梁のある家に帰ってきた、と安心したら、飼い主さんに甘えるのでしょうか。
鳥にも人間に近い子がいる、と書きましたが、桜文鳥のミユは「いまお母さんは忙しそうだ」と察知する子でした。そのため十分に甘やかしてあげられなかった、と旅立ったとき悔やみました。
今日はアルプラザ京田辺でレッスン。夕方5時出発です。それまで3人でゆっくり過ごせる最後の日です。いつもバイオリンの練習は洋室でするのですが、ウメちゃんがストレートモード(※) でまったりしているとき和室で弾いてみました。無言。動ぜず。スルー。ちなみにミクは怒って噛みます。飼い主さんがバイオリンに集中しているのが許せないようです。
(※) ストレートモードとは、正面から見たときに、身幅と尻尾幅が同じになっている状態のこと。わたしが命名。写真のように、ストレート以上に末広がりなこともある。
午後は庭仕事がしたいです。ここのお庭は1年半まえに越してきたとき、樹々がしょんぼり、草や虫がまったく見当たりませんでした。今年の夏はカエルが鳴いたりトンボが飛んだり、ツバキの花がわんさと咲いたり。この冬は水脈(明渠)を張り巡らせる計画で、優先順位の高い場所から少しづつ掘っています。
一計を案じ、ウメの籠の扉を閉めてから庭に出ました。2時間ほどして帰ってくると、ウメは籠の上で待っていました。お腹がすいたのです。てのひらに主食のヒマワリの種をのせて差し出すと、嬉しそうに食べました。籠のなかにおやつを入れると、いそいそと入ってばりばり齧っています。ウメを預かって初めて、スマートに籠に入れることができました。
お腹がいっぱいになると、ひいよ、こここっ、と鳴きます。梁をさがす仕草をしたり、籠の側面にとまって動き回ります。出たいのでしょう。でも出すわけにはいきません。今日は二羽を寝かしつけてから出発です。籠に布をかけて、部屋の灯は点けて出かけます。
8時前に帰宅すると、二羽ともリラックスした様子で眠っていました。
●火曜日、ウメと過ごす最後の朝。お天気が曇りで梁が無いので、やや不機嫌。てのひらに乗せてヒマワリの種を差し出すとぱくぱく。陽射しが差すと、落ちついて羽が広がりました。今日はお母さんがお迎えにくるよ。嬉しいね。
飼い主さんの顔を見るとウメは表情が変わり、キュエッ、キュエッ、と聴いたことのない甘えた声で鳴きました。梁のあるお家と飼い主さん、どちらも必須だったのですね。ウメちゃんとお母さんの深い絆を感じた瞬間でした。
●その後のウメちゃんを知りたい方は、飼い主さんのインスタグラムをご覧ください!