枚方のバイオリン工房へ、今年2月に購入したビオラ弓の毛替えに行ってきました。
トレーナーをしている神戸のアマオケの練習が8月はないため、ビオラで、チェロパートとコントラバスパートを弾いて遊んでいたところ、新調したビオラ弓が弾きにくい。何故かと思ったら、フロッグがネジの方に寄りすぎていました。そんなに使っていないので毛が伸びたせいとは思えません。最初からそう張られていたのかも。
ビオラ弓の毛替え
毛をゆるめた時に、革とフロッグのあいだに隙間がないよう、毛を張ってもらいました。バイオリン弓の毛替えのときは、なにも言わなくても、いつもそのようにしてくれます。その重要性が、今回の出来事(ビオラ弓がなぜか動かしにくい事件)でよく分かりました。
弓の毛は、仕入れた毛束からカットして、そのまま用いるわけではありません。目視で状態の悪いものを間引きます。間引く作業をしながら、スティックの状態により毛量を変える話をしてくれました。
ビオラ弓は購入後初めての毛替えで、ヘッドの中から小さな金属片が出てきました。重心のバランスを補正するために入れたのでしょう。とりあえず戻しときましょう、ということになり、職人さんはヘッド内部に木工用ボンドで貼りつけていました。今後の毛替えのときに、無くさないようにするためだそうです。
この弓の前に使っていたシェーファーは、重心がやや弓先よりだったため、職人さんがフロッグに金属片を入れてくれていました。しかし弓先と違って、フロッグを重くしても、弓を持ったときの感触はあまり変わらないのでは。。まあもう使わないからいいけど。
ヘッドのくさび穴が、くさびが抜けやすいカタチをしていると言って、何度も慎重にくさびを削っていました。くさびは、穴が立方体に近いほど抜けにくく、台形っぽいほど抜けやすくなります。抜けにくくするため、台形から立方体になるよう穴を削ることもあるし、木工用ボンドでくっつけることもあるそうです。
イマドキは「弓の毛替えは熟練の職人がする」という時代ではなく、スチューデントクラスの弓に木工用ボンドが使われていることは珍しくないそうです。むべなるかな。でなければセットで1万円とか2万円などというバイオリンが存在するわけがありません。
ビオラ本体の点検
毛替えのあと、本体の点検をしてもらいました。部分的に、側板と裏板がはがれているのが見つかり、ニカワで接着して、1時間ほど木製クランプでとめてくれました。
ほかにトラブルはありませんでしたが、音響的には以下のような見立てでした。
駒と魂柱の位置関係はOK。しかし弦長が充分に取れていない。テールピースを短いものに交換し、テールピース~ナットの1:6の位置に駒が来るよう、駒と魂柱の位置をエンドピン側へ下げるのが、ベストな処置。しかしビオラのテールピースで短いものが手に入るかは、調べてみないと分からない。
弦長が充分でないのは、私のビオラサイズが39.5だからです。オーケストラではなく、独奏曲や室内楽曲で生業を立てている音楽家は、40.5以上を持っているから、「短いテールピースが存在しているかは分からない」のでしょう。
私はレッスンプロなので、駒と魂柱の位置関係がOKなら今のままで、という結論にしました。記憶をたどれば、このビオラの調整を直近でしてくれたのは奈良の岸野さんでした。レッスンプロのビオラに最適な調整をしてくれていたのです。
チェロ
子供の生徒の保護者さんたちがチェロを始めました。A子さんは私が知り合いのツテで譲り受けたチェロ、N子さんは私が借り受けたチェロで、2人練習しています。まだチェロの先生に就いていないので、継続してフォローしてあげねばなりません。
借り受けたチェロの駒の傾きがイマイチなのですが、バイオリンの駒のように「くいっ」と動いてくれなくて、動かし方を教わりました。が、チェロは、駒の脚裏が表板に吸い付いていないと、傾きを直しても安定してくれないとのことで、諦めました。一体誰が削ったの?というスゴイ脚裏なのです。
また松脂がカピカピなので、初心者にお勧めの松脂を聞きました。「クロネコダーク」とのこと。へ、そんなんでいいの? それならウチに使ってないのありますねん。生徒さんにあげよう。
京田辺の松井山手でピアノ教室を開いている先生んちのチェロが、弦がびよんびよんになり、駒と魂柱が倒れてしまっていました。それについても尋ねたら、両方倒れてるのはいいでしょう、とのこと。
魂柱が倒れて駒が立っている状態は、危険です。駒の圧で表板が割れかねません。
駒が立ってなくて魂柱が立ってるのは、構わないと思っている人もいますが、長期間そうなっているのは表板・裏板によくありません。また駒を立てなおすときは、魂柱の位置の再調整が必要です。