木津川市の獣医さんへ、青セキセイインコのラナを連れて行きました。
ラナは、黄セキセイインコの男子ミクのパートナーとして、2018年にお迎えしました。体の弱い子で、気は強いけど物静か、体調がわかりにくい子でした。
昨年の11月、気がついたら羽を膨らませてジッとしていました。眼が充血しており、翌日には眼の周りが黄色く腫れてきて、これはもうダメだと覚悟しました。しかし奇跡的に持ちなおし、低空飛行な体調でありながら冬を越してくれました。
京都府井手町のJR玉水駅前「銘木カフェ志木」に、侘助(ワビスケ)という柴犬がいます。私とほぼ同時期に、井手町にやってきました。
彼はなぜか私のことが大好きで、他の人がいても私めがけて突進してきます。バイオリン教室の前は、彼が朝夕かならず通る散歩コースで、バイオリンの音色が聴こえると私がいると思うのか、敷地に不法侵入します。飼い主さんも不思議がっています。
あるとき侘助が行ってる獣医さんの話になりました。木津川市にあり、お客さんが来すぎるので看板を降ろしたとのこと。手術などはできるだけ避け、本人(本犬?本鳥?)の治癒力を大切にするらしい。むむ、私と合いそうではないですか!
春がきて、ラナの体調が上向いてきたと安心しかかったある日、彼女のお尻が腫れあがりました。
小鳥は、容体が悪いとき無理に病院へ連れていくと、かえって体力を消耗してしまうことがあります。しかしラナは、症状がひどいにもかかわらず割合元気。そこで木津川市の獣医さんに行ってみることにしました。
ネットで所在地と診療時間を調べてビックリ。休みの曜日がない。夜も診てくれる。往診可。完全予約制。先生はいつ休んでるの?
予約のため電話をするが、出ない。何度かかけて電話口に出たのは、当の先生でした。先生直々に訴えを聞いてくださり、予約を取ってくれました。
行ってみてわかったのですが、患者さんからの電話には先生が出るのです。奥にスタッフらしき女性がいたけれど、ラナを診療しているあいだ、電話が鳴っても彼女は取りません。そのため電話をしても誰も出ないことがあるのだ、と分かりました。なんという商売っ気のなさ!
ラナは、知らない場所や知らない人を怖がります。私の手には乗るけど、ほかの人には触られたことがありません。でも木津川市の先生なら大丈夫かも。彼女を安心させるためミクも一緒に連れていきました。
キャリーに入れられて散歩するのは慣れています。電車にもこれまで幾度か乗りました。実家の浜松まで、JR奈良線と関西線を乗り継いで帰ったこともあります。
玉水駅から木津ゆきの車内は空いていて、二羽とも外の景色を見ながらリラックス。キャリーには庭のヒバの枝を切って入れたので、いい香りがしています。
JR木津駅の駅前からタクシーに乗ってもよかったのですが、ラナが元気なので歩くことに。カゴをゆらさないようそっと歩きます。風が暖かい季節でよかった。外界の景色を見るのは2羽とも大好きです。
ゆっくり歩いて15分。わかりにくい場所でしたが、木津川市は畑を借りていたので土地勘がありました。
看板は降ろされていました。病院っぽくなくて普通の家にしか見えません。チャイムを押して中に入ると、受付に先生が1人でおられました。
診察室でラナをカゴから出すと、先生の手にすんなり乗ってくれました。先生に握られても、頑張って静かにしています。乳がんやお腹の赤ちゃんを診るときのエコー検査で、お腹のなかを診てもらいました。
なんらかの理由で成長の止まった卵が、卵管の上のほうにある。直径1cmくらい。診断としては腹膜炎で、お尻が大きく赤くなっているのは、卵ではなく炎症によるもの。
今は炎症を起こしたあとで、体が修復作業に入っている。だから元気。
卵は、自然に分解・吸収されるか、自然に排泄されることもある。
少し前に体調が悪化したそうだが、その時に卵がうまれていた可能性がある。
ということでした。
結果的に、なんらかの処置をする必要はなかったのですが、飼い主としては状況がわかって大安心でした。
もう一羽ぶん料金を払ってもいいと思い、ミクの健康診断もお願いしました。
ミクはカゴから出されるや否や、診療室内を自由に飛び回って、まったく言うことを聞きません。「これだけ元気だったら問題なさそうですね」と先生。なんとか捕まえて触診もしてもらいました。
受付での最後のお会計も、先生がされました。奥にいる女性スタッフは全然出てきません。
この先生なら患者さんが殺到するのもうなずける、と思っている私の前に差し出された請求金額が、またびっくり!
思わず「先生、これは安すぎます」と言ったら、先生は「なにもしてないですから」と。
いやいや、なにもしてないことナイでしょ。診断と助言をしたじゃないですか! エコー検査もしたじゃないですか!
先生が生活していけるのか心配です。お米や野菜を送りたくなりました。
これまで出会った、取りすぎやろう!と思える金額を請求してきた事業者さん、慎ましく感じた事業者さん、いろんな方が脳裏に浮かびました。