電子チューナーで1弦づつ合わせていた調弦から、2弦鳴らして合わせる調弦へ移行すると、ほとんどの生徒さんにある疑問が生じます。

AD2弦鳴らして、耳で取ったDの音程が、チューナーで測ると低い。

それは耳で取った音程は純正律なのに対し、電子チューナーは平均律だからです。純正律と平均律の意味は、ネットで調べてください。わかりやすく解説してくれている記事や動画があります。


私が子供のころ、電子チューナーはありませんでした。(私の身のまわりに無かっただけかもしれない。)

ちっちゃかった頃は、ステンレスの重たい調子笛を口にくわえて、1音づつ調整していました。調子笛は正確さがイマイチですが、五度の感覚はバイオリンを弾いているうちに身について、自分の音感で修正していました。

440Hzの音叉も持っていました。音叉からAを調弦することもしていましたが、2弦鳴らしてDGEを取ることはしていませんでした。

大人になり、弦楽アンサンブルのサークルに入りました。その頃のアマオケ団員は、今のように全員ではありませんが、電子チューナーを持っていました。


オケの一斉チューニングでAを取ったあと、耳でDGEを取っていたら、ビオラトップから「2弦鳴らして取るほうがいいよ」と言われました。
「2弦鳴らして取ると、Dが低くなっちゃうんです」と答えると、トップサイドのバイオリン友達も「私も低くなります」と言いました。私たち2人はその原因をすごく知りたかったのですが、ビオラトップの方には訴えそのものが分からないようでした。


今にして思えばビオラトップの方は、個人レッスンではなくオケからスタートしていて、最初から平均律の響きで、ADの重音を捉ていたのだと思います。

部活動でバイオリンを始め→大学オケ→市民オケと進み、初めて先生について学んでみようとレッスンにやってきた生徒は、平均律のADが自然に聴こえて、純正律のADは違和感があるそうです。


AからDを取るときは、Dを少し高めにします。
DからGを取るときも、Gを少し高めにします。
AからEを取るときは、Eを少し低めにすると平均律になるのですが、私はぴったり(純正律)にします。
(これについては様々な意見があります。)

AからD、DからGをどのくらい高めにするかは、響きで覚えます。

①Aをチューナーで合わせる
②ADを重音で鳴らして、Dを調弦
③Dをチューナー確認して(低めのはず)、チューナーに合わせる
④AD2弦鳴らして、音の響きを覚える

を繰り返していると、だんだん掴めてきます。

セントという単位があります。簡単に言うと、半音の1/100です。
A線とD線は完全五度で、完全五度の純正律と平均律の違いは2セントです。
純正律(耳)で取ったDは、2/100セント高くすれば平均律になります。