奈良「秋篠音楽堂」で楽器店主催のクラシック発表会がありました。
コロナもありエントリー3名、出演2名という少々寂しい人数(私の教え子からは)でしたが、2人とも素晴らしい演奏でした。


♪ ナナちゃん 第九 喜びの歌、ほか
♪ カイくん ハンガリー舞曲 第五番


ナナちゃんはバイオリンを習いはじめて丁度2年。

まだ「むすんでひらいて」をやっていることから分かるとおり、進度がゆっくりなのですが、ものすごくしっかりした良い音を出して弾いています。

進度がゆっくりなのは、本人がそれを望んでいないからです。ナナちゃんは気に入った曲をいつまでも弾きたがる子で、ずっと前に終わった曲も自発的にちょくちょく弾きます。

先生としては最初は早く前へ進ませたいと思ったのですが、これは小さな子供が同じ絵本を何度も読んでもらいたがるのと同じではないか?と考え、本人の好きなようにさせてきました。

姿勢も、直そうとすると途端につまらなそうな顔をします。姿勢の修正より、本人が楽しく弾く方が大事ではないか、と考えました。

ピアノ合わせ1回目と2回目のあいだにレッスンがお休みの週があり、「弓を大きく使ってゆっくり弾いているので、ピアノ伴奏の速さもゆっくりにして欲しい」と保護者さんから事前連絡が入りました。

休みあけナナちゃんに会ってみると、ゆっくりになっているのは姿勢が崩れているからでした。足元を正すと元の速度に戻りました。そこで本人は、姿勢で弾きやすさが違う!と開眼したみたいです。

第九は「好きなものを弾いていいタイム」に本人がお遊びで弾きだしたものを、先生が後半を教えて、楽譜なしで完成させました。いつこんな耳コピー力が備わったのでしょう? 先生はビックリです。

ピアノ伴奏は、ピアノのmomo先生 オリジナル。Nちゃんの音感力に合ったアレンジにしてもらいました。

奈良の発表会が終わって最初のレッスンは「おにんぎょうの おどり」でした。

上手に弾けるとナナちゃんは、発表会でたい!と叫びました。先生も保護者さんもびっくり。どうやら「上手に弾けた→お披露目したい」というサイクルがナナちゃんの中でできあがっているようです。
さっそく、エチュードミュージックアカデミー京田辺主催のクリスマス会に出ることなりました。

カイくんは、引っ越しにともない教室を移ってきて1年半。小さなころからバイオリンを習っていましたが、かなりグネった姿勢でした。

体幹が前から見ても 横から見ても歪曲しており、弓は上半分しか使えず、左手を丸くしてネックを握ってしまうフォームでした。
また裏拍から入るとき表拍の休みが取れなかったり、伸ばす音が長すぎたり短すぎたり、カウント面での大きな課題がありました。
シフトは1stポジションからずり上がる音を出す癖があり、ビブラートは手首から先を左右に振るため 楽器がカクカク揺れました。

経験者の生徒さんがレッスンに来られたばあい、これまでやってきたことを否定しないため、最初はあまり改善点を言いません。

彼に新たな演奏フォームを提案しだしたのは、今年の春くらいから。
膝や腰をロックしない。
胸を内側に押し込めない。
腕は付け根から上げるのではない。

秋口になり、カイくんは言いました。
先生、体の形を変えると弾きやすくなるんですね。驚きです。

演奏フォームが変わると、カウントが取れないという課題は自然と消えてゆきました。音をずりあげる癖も減ってゆきました。1年前の発表会と比べると、別人のようになりました。

ビデオでは伝わりにくいのですが、間近で聴くと鳥肌のたつような音を出します。元々体がしなやかなのです。客席で聴いていた保護者さんも絶賛でした。