一般的に弓の毛替えは、年1回すると良いと言われます。しかし実際のところ、弓の毛は1年やそこらで摩耗したりしません。ではなぜ年に1回毛替えに行くかといえば、

①スティックに対するボックスの位置が戻る
②楽器の定期点検をしてもらえる
③職人さんと話ができる

―弓の持ち方が悪いと、①の意味はありません。
―その場で作業してもらえるバイオリン工房ではなく、預かりになる店舗に持って行くと、③のメリットがなくなります。

預かりになる店舗では料金も割高です。その場でやってくれるバイオリン工房だったら、遠方でも1回の訪問ですみます。職人さんと直にやりとりできるバイオリン工房で、毛替えされることをお勧めします。

♪ なにをもって毛替えが必要と判断するか?

こちらの記事をご覧ください。
 2020/08/20  バイオリン・ビオラ 毛替えの作業

♪ うちの生徒たちは

おおむね1~3年くらいで毛替えの声かけをします。楽器や弓のメンテナンスにできるだけお金がかからないように、と思うので、先生ができる点検・調整は先生がし、生徒ができることは生徒に教えるのが基本方針です。
方針は、生徒に合わせて変えています。そのため1年で毛替えを勧める生徒さんもいれば、3年後になる生徒さんもいます。

レッスンでの調弦も、早くから本人にさせることもあれば、ずっと先生がすることもあります。ある段階でペグ調弦を教える生徒もいれば、ずっとアジャスターのままの生徒もいます。生徒本人の意向、意欲、手先の器用さなどをみて、判断します。

経験者さんがお持ちの道具類には、いきなり踏み込まないことにしています。前の先生の方針もあるでしょうし、ご本人の考え方もあると思うからです。パキパキ言う、傾きの角度が悪いペグの方が多いのが、気になります。

「まだ行かんで大丈夫そうね」などと先生が言っているうちに、5年経ってしまった初心者さんがおられました。毛替えの間隔がもっとも開いた、極端な例です。職人さんにもだいぶバラけているねと言われたそうですが、毛替えをして弾きやすくなったか尋ねたら、「特に」との返事でした。

♪ 私はどうしているか

毛替えは半年に一度です。

・毛種はルッキ
・滑らか目にしてほしいので、ごわついた毛は間引く。間引き率 高め
・棹のテンションが低いので、毛量は少な目

弓を見て「過去」の対応を思いだし、「現在」の私の話とミックスして、最適な状態にしてくれます。上記の内容を毎回言う必要はありませんが、お客さんの情報は多ければ多いほどどんな仕事もしやすいので、自分の近況をうだうだと繰り出します。

自分の道具類を点検してもらい、生徒の道具類の相談をし、半年で溜まった疑問点を職人さんにぶつけます。(あいつ来たら長居するな~と思われてます。)