■ バイオリンの習い始めは卓上型で
バイオリン・ビオラ・チェロの電子チューナーは、大きく分けて卓上型とクリップ型があります。家での練習に使うなら卓上型にしましょう。クリップ型より扱いやすく、画面が見やすいです。
KORGが先駆メーカーですが、YAMAHA製やSEIKO製も悪くないです。この3社製以外で安すぎるものは、敬遠しましょう。
SEIKOにはチューナー・メトロノームにくわえ、ストップウォッチ機能まで付いています。私はたまにストップウォッチが必要になるのでその点魅力的ですが、デザインがごてごてしているのが気になります。
卓上型は少し大きくてかさばるので、シェル型(三角形)のバイオリンケースには入らないことがあります。しかし習い始めは、レッスン以外でバイオリンを持って出かけることもないでしょうし、レッスンでは先生が調弦してくれます。
(私のレッスンでは、他の先生より早い段階で、レッスン時も生徒自身にチューニングをさせます。バイオリンには体の器用さが大事だからです。チューナーは持ってこなくても貸します。)
置き型チューナーに比べると、クリップ型チューナーは反応が悪いことがあります。クリップ型はアマオケ等に行き出したときに検討したら良いと思います。
置き型チューナーには、メトロノーム機能が付いているものと付いていないものがありますが、どちらが良いかは人それぞれです。私はメトロノーム機能を大変便利に使っているので、先生はどう思いますか?と聞かれたら、メトロノーム付がよいでしょうと答えます。迷ったら付いているものを買いましょう。
メトロノームは、バイオリンの上達に必須の道具です。選び方や使い方は、こちらの記事でも少し触れています。
2020/06/23 家での練習 マストアイテムとその使い方
■ オケでチューニングするときは、クリップ型が便利
置き型チューナーがバイオリンの近くに置いて使うのに対し、クリップ型チューナーは楽器に挟んで使います。すぐ隣でほかの人が調弦していても影響されず、挟んだバイオリンの音程だけに反応します。空気伝搬音ではなく、固定伝搬音を拾うからです。
置き型チューナーも、チューナーマイクを使えば自分の楽器の音程だけを拾えます。チューナーマイクは、50cmくらいのケーブルの片端がクリップ、片端がプラグになっています。クリップをバイオリンの駒に挟み、プラグを置き型チューナーのinの穴に挿します。
■ クリップ型チューナーの選び方
クリップ型チューナーを選ぶとき大切なのは
◎楽器に挟みやすい
◎画面を見やすい方向へ向けれる
ことです。
楽器に挟みにくいもの、画面がこっちを向かないものは、大変ストレスになります。アマオケで手早くチューニングしなければならないとき、焦ります。
ネットで「バイオリン」用の「クリップ型チューナー」を検索すると、多くの種類のチューナーが出てきますが、その殆どがバイオリンには向きません。前述の2点を満たさないのです。
生徒さんが持ってくるクリップチューナーの中には、「挟みにくい」で済めばまだマシで、どう考えても挟めないものがありました。ネックのどこに挟んでも画面がこっちを向かない、そんな商品もありました。なぜそんな品がバイオリン用クリップチューナーとして紹介されているのか、販売されているのか、不思議でなりません。
私の知っている「スカッと挟めて」「画面が素直にこっち向く」クリップチューナーは、KORGです。
25年前初めて買ったクリップ型チューナーは、KORGでした。その頃は選択肢がKORGくらいしか無かったように思います。KORGの挟みやすさ、画面の見やすさを当たり前だと思って来ました。それが25年後に、こんなにクリップチューナーが選びにくい状況になっているとは!
25年前KORGの欠点は、クリップと本体のあいだの首が「パキッ」っと折れやすいことでした。で、パキッとやってしまいました。更に、E音に反応しなくなりました。
オケでは、1Hzを聴きわける耳と素早くチューニングできる技があれば、何とかなります。
だからクリップチューナーを持たないできましたが、発表会の舞台へ生徒を送り出すとき、やはりクリップチューナーが欲しいのでした。365日のうちのたった数日ですが買い直すことを決意。挟みにくいクリップチューナーだらけのネット海へこぎ出しました。
最初は片っぱしから記事を探して読んでいましたが、挟みやすさの情報がなかなか得られません。一計を案じ、比較的信頼できると感じているバイオリン専門ネットショップを順繰りに覗いていきました。
とあるネットショップでは、SNARK というブランドのものをお勧めしていました。デザインが格好いいし、値段も手ごろです。しかしこれは生徒さんが持っているのを見たことがあります。あまり挟みやすくありませんでしたし、画面がケバケバしいです。
●KORGのクリップチューナー
大阪梅田のクロサワバイオリンに寄った折、KORGのクリップチューナーが展示してありました。一択でした。試してみると・・
挟みやすい~! 画面こっち向く~!
そういえば宇治フィルの生徒さんがコレ使ってました。
帰宅して25年前のもの(写真奥)と比べてみたら、クリップ部分はまったく一緒でしたが、クリップと本体のあいだの首が「パキッ」っと折れやすかった点が改善されていました。
画面が色彩豊かでチカチカするものは、眼が疲れてイラッとします。KORGのクリップチューナーも昔と違いカラーですが、クリップ型チューナーのなかでは一番地味で落ち着きます。
手前が現在のKORG。本体のフォルムがスタイリッシュになり、且つ操作性もアップしています。
●ダダリオのクリップチューナー
バイオリン界の老舗タツノヤのネットショップ「I Love Strings」では、ダダリオのクリップチューナーが載っていました。ダダリオは弦メーカーとして有名で、歴史もあり信頼性もあります。クリップ部分は、ネック周辺に挟むタイプと、バイオリン本体に取りつけるタイプがありました。
バイオリンに向かないクリップチューナーが、何故バイオリン用とPRされてしまっているかといえば、各メーカーが「どの楽器にも取り付けできる」クリップチューナーを目指したからです。それ自体は間違っているとは思いません。大量生産により価格が下がれば、消費者にもメリットがあります。
しかし「どの楽器にも取り付けできる」ものを目指した結果、どの楽器にも取り付けにくい中途半端な製品になってしまったのではないでしょうか。多目的ホールは無目的ホール、みたいに。
そんな中、バイオリンの本体にしか取り付けられない製品を出しているダダリオは、えらいと感じました。そこでネックに挟むタイプを買ってみました。が、あきまへんでした。この記事の役にだけ、立ちました。
ダダリオのクリップ型チューナーは、ペグボックスに挟むことはできず。ペグなら挟めました。(下の写真) 時折こういうタイプのものがあります。チューナーを挟んだペグのチューニングは一体どうしたら良いのでしょう? クリップ型チューナーは、ペグではなくボックスに挟めなければ意味がありません。
ペグに挟まないと、画面がこちらに向いてくれないダダリオ。
■ バイオリン・ビオラの基準音A(ラ)は442Hz
昨今のチューナーは周波数の設定変更ができるものが殆どなので、「買ったはいいが、バイオリンの442Hzに出来なかった!」という事件はほぼ起こりません。
しかし一度だけ、442Hzに設定できないチューナーに遭遇したことがあります。それは生徒さんのお母様の「和楽器」用のものでした。そんなこともあるので、買うときは442Hzに設定できるかちょっぴりご注意ください。
初期値は440Hzであることが多いです。また442Hzにしたあとで、周波数を上下するボタンをうっかり押してしまうこともあります。
笑い話① 他の先生から移ってこられた生徒さんの卓上型チューナーが、447Hzになっていたことがありました。家ではずっと447で練習していたようです。
笑い話② レッスンに来るたび音程が異常に低く、先生が調弦しなおしていました。家で使っているチューナーを持ってきてもらったところ、422Hzでした。(442だってばさ。)