バイオリンの質&値段はピンキリです。子供に分数バイオリンを買うときは、1台目はおもちゃ代わりと考えるのか、1台目からちゃんとしたものを買うのか、まず決めましょう。
おもちゃ代わりならネットで買うといいでしょう。高価なものを買ってしまうと、子供が乱暴に扱わないかひやひやします。安いものを買って、のびのび自由に触らせましょう。けれど
●おもちゃ代わりでないものを買いたい
●買ったからにはちゃんと練習してほしい
と思うなら、以下のように買うことをお勧めします。
♫ バイオリン教室やバイオリン専門店へ行ってリサーチ
バイオリン・ビオラ教室にやってくる、バイオリンを初めて習う子供が、すでにバイオリンを購入済なことがあります。先生としては大変残念な気持ちです。なぜならば「こんな楽器を買ってほしかった」と思うことが多いからです。
●ワンサイズ小さい(or大きい)方がよかったのに
●もっと軽い楽器を買ってほしかった
●違う肩当てにしてほしかった
●そのお店で買わないほうがよかったのに
ワンサイズ小さい方がよかったのに、と思っても、ワンサイズ小さいのを買ってとは言えません。
バイオリンは安くない買い物です。買う前に、バイオリン教室のレッスンに行ったり、バイオリン・ビオラ・チェロの専門店に足を運んで、情報収集しましょう。
バイオリンを習わせる気がある(本人に習う気がある)のなら、先生を先に決めるといいです。楽器店にバイオリン教室が併設されていることもあるし、楽器店で先生を紹介してもらうこともできます。
先生を先に決めたほうがいいのは、購入に関してだけではありません。
バイオリンは音程が狂いやすい楽器です。初めてペグが戻ったとき、自力で直せる生徒さんは少数です。先生についていれば助けてもらうことができます。
安い楽器はアジャスターなど関連部品もすぐ壊れることがあります。肩当て・顎当て・松脂・チューナーと使いこなさなければならない付属品が色々とあります。
♫ 実店舗で買う
ネットでポチッ!とやったため、子供用ではなく大人用を買ってしまった生徒さんもおられました。私に見せるまで、大人用を買ってしまったことに気づいていませんでした。
本気のバイオリンを買うなら、実店舗です。もしくは実店舗がやっているネットショップです。いろんな楽器を扱っている楽器店ではなく、バイオリン・ビオラ・チェロを主に取り扱っている楽器店がベターです。
ネットでバイオリンを買うつもりの方は、私のバイオリン教室にも結構お越しになられます。しかし私に説得されて、実店舗に出向いてバイオリンを買った多くの方が、実店舗に足を運んで良かった!とおっしゃいます。
実店舗であればどこでもいいのではなく、ちゃんとした楽器が置いてあって、ちゃんとした説明ができる店員さんがいる楽器店を、ご紹介しています。
♫ 子供本人が音を聴いて、触って、選ぶ
本人がバイオリンに触ることなく保護者さんが買ってしまうのは、とてももったいないことです。
楽器店に足を運んで、実際にバイオリンを触り、どれを買うか自分が決めるのは、やる気を起こさせる絶好の機会だからです。
小学校高学年 以上になると、自らの意欲に基づいてバイオリンを習います。しかし年齢が幼ければ幼いほど、いろいろなものに広く浅く興味を持ちます。バイオリンを練習させるには作戦がいります。
バイオリンを始めるには3歳か4歳から。
分数バイオリンを買い与えて、レッスンに連れていけば、弾いてくれるだろう。
そんな思惑にすんなりはまってくれる子はいません。
候補の楽器店へ電話して、子供にあう分数バイオリンを、予算内で複数台用意してもらえるか聞いてみましょう。ワンサイズ違うだけで、当人の感じるバイオリンの弾き心地はかなり違ってきます。年齢と学年、身長や体格など、お店の方へは詳しく伝えましょう。
比べる台数が多すぎると、子供が疲れて興味を失ってしまいます。子供の集中力が持続する台数を、あらかじめ楽器店にお願いしておきましょう。また値段がわからない状態で比べられるよう頼んでおきましょう。
サイズアップなら、買いかえ前のバイオリンを持っていって、弾き比べるといいでしょう。楽器のサイズが大きくなると、それだけで鳴りが良くなります。いま持ってるバイオリンよりいいものを買ってもらえる!と、子供に感じてもらえます。
予算オーバーになると困るばあいは、金額をあいまいにせず、上限の値段をはっきり伝えましょう。〇万円くらい、というあいまいな言い方をすると、よかれと思って1ランク上の楽器が出てくることがあります。
予算に対する楽器店の反応が悪かったり、1台しか用意してもらえない場合は、ほかの楽器店に問い合わせてみましょう。安い楽器は利益が少ないので、取り扱いたがらない楽器店もあります。
お店の規模も関係します。小さな楽器店で安価なバイオリンを複数台 用意するのは難しいです。
普段安価なバイオリンを扱っていない専門店でも、タイミングよく下取りした中古楽器が在ることもあります。ダメもとで聞いてみましょう。
♫ 分数バイオリンのサイズも大事
分数バイオリンのサイズ確認は、本人に持たせてみるのが一番です。
バイオリンの大きさに対する感受性や器用さは、1人づつ違っていて、身長や学年・年齢で決めきることはできません。楽器店から保護者さんが電話をかけてきて、「お店の人は3/4だと言うが、本人が1/2でなければイヤだと言っている」と相談されたこともあります。
身長と分数バイオリンのサイズの対比表がありますが、あまり当てになりません。子供たちの体格が今よりガッシリしていた時代のものだからです。
またバイオリン自体の大きさや重さも、メーカーや年代によってかなり違います。
♫ 教本や付属品も、実店舗で本人の手に持たせて買う
せっかく分数バイオリンを買ったのに、レッスンに通わせているのに、今ひとつ身が入っていない。という場合、かわいい表紙の教本を1冊買うとか、調子笛・譜面台を買うなどすると、気持ちがアップすることもあります。ケースのかわいさが「効く」こともあります。
代金も本人の手に握らせましょう。お金というものを触らせるチャンスです。電子マネー決済が進んで、子供たちが「通貨」や「おつり」という概念を理解しにくくなっています。
前述のとおり、幼子は興味や好奇心が持続しません。買い物や、教室の発表会などのイベントを利用して、興味を持続させ、バイオリンを習うことを日常生活に組み込みましょう。
ひとつの事柄に集中できる年齢になるまで、バイオリンを習わせるのを待つのも、賢明な考え方です。買わねばならない分数バイオリンの数も、少なくてすみます。
半年とか数年の間を空けて、単発レッスンに繰りかえし訪れる保護者さんもおられます。子供は何歳になった段階でどんなことに興味を示すかわかりません。バイオリンを触らせて反応が薄いなと思ったらサッと諦め、しばらく時が経ったら再び触らせてみるわけです。