奈良市にある島村楽器で、生徒たちが立て続けに、初心者向けのセットバイオリンを買ってきました。

3月に中学男子がイーストマン
4月に高校男子がスズキ
6月に大学生の男子がアースミュージック

自宅教室に居ながらにして、島村楽器がセレクトしている初心者向けバイオリンのラインナップを、知ることができてしまいました。

島村楽器 奈良店は、近鉄 新大宮駅すぐのショッピングモール「ミ・ナーラ」にあります。様々な楽器を扱っている楽器店の中では、行ってよいと教えているお店のひとつでした。(絶対に行ってはいけない楽器店もあります。)

生徒の話を聞くと、どうもシッカリした店員さんがいるようです。近畿圏の島村楽器では、奈良店とグランフロント大阪店でバイオリンに力を入れていると分かりました。 生徒たちの買ってきた楽器を触って、知りたくなったこともあります。付属品の品ぞろえも確認したい。

ミ・ナーラ奈良店は10年前に一度覗いたことがありましたが、今どうなっているのでしょうか。生徒に教えておいて現状を知らないというのもいけません。というワケで行ってきました。

並んでいる楽器をざっと見ると、初心者さん向けセットバイオリンの選択肢をしっかり揃えています。

44千円 ニコロサンティ
62千円 イーストマン
88千円 スズキ
10万円強 アースミュージック

●生徒が買ってきた イーストマン を触ったとき、疑問が生じました。バイオリンは木工製品なので、どうしても品質にバラツキがあります。それにしてもこれまで見てきたイーストマンより、品質が劣っている気がしました。

ショーケースに陳列されているイーストマンを見てビックリ! ベルナルデル松脂 と KUN肩当て が付いて62千円? 最安ランクのイーストマン定価は、松脂・肩当てなし72千円のはずですが。

弦楽器に詳しい店員さんがおられたので質問してみました。これは島村専用モデルで、お手頃価格にするため品質を押さえているのだそう。ガテンがいきました。イーストマンは中国製造の米国メーカーで、日本に流通させるものは東京の工房で最終仕上げを行っています。その最終工程を簡素化したようです。

●弓がフェルナンブーコになっているのもえらい! 6万円台くらいのセットバイオリンは、弓をブラジルウッドにして売価を抑えるのです。初心者のお客さんに弓の良し悪しは分かりにくいものですが、良い弓で弾くほうがクセのない弾き方を身につけることができます。

5~6万円のセットバイオリンには、1万円くらいの弓がついています。楽器と弓をばらばらに買うようになると、弓の価格は楽器の半分が目安と言われます。しかし私は同じくらいの値段でもいいと思います。それくらい弓は大切です。

●生徒の買ってきた スズキ 200番台は、イーストマンと同グレードのはずなのに、妙に品質が良かったのも展示を見てガテンがいきました。
イーストマン同様「島村専用モデル」と書いてあります。スズキ200番台の元々のセットはブラジルウッド弓ですが、フェルナンブーコ弓にアップされ、弦もドミナントにアップしています。本体の仕上げ・調整もアップしているのでしょうか。気になるところです。

●顎当ても沢山並んでいました。バイオリンを弾く側からするとこだわりたい付属品ですが、利益率が低いため、沢山の種類を置いているお店はあまりありません。予約すればフィッティングさせてもらえるそうです。

●中古楽器も何点かあり、しかも良心的な価格。
T楽器店では、ふさわしくない値段で売られている中古楽器を見かけたこともあります。メルカリで中古楽器を買ったものの、修理費を聞いて新品を買い直した方もおられました。楽器の健康状態は、専門家でないと分かりにくいものなのです。

●44千円のニコロサンティは、1台目のバイオリンとして手に取ってもらえるお客様を増やすため、苦渋の決断で置いているとのことでした。どれくらい続くか未知数の趣味・習い事に、何万円も出すのは勇気がいることです。