京田辺市の生徒さんには枚方のバイオリン工房を紹介することが多く、私もバイオリンとビオラも8年前からお世話になっています。腕がよく、お客さんの要望を感じとろうとしてくれる職人さんです。
バイオリンの操作は0.5mm単位です。しかしバイオリンのメンテナンスは0.1mm単位。クサビの削りカスなど、数枚重ねても0.1mmにならなそうです。
壁にかかっている弓の毛(馬の尻尾)
弓の毛替えと、弓先のティップ交換
いつものルッキ。毛量を2割ほど減らしてもらいました。毛替え前は標準より多めだったそうです。
腰の弱いオールド弓なので、毛量が少ない方が負荷も減ります。私が現役のあいだ 弓には元気でいて欲しいので、棹にかかるテンションは少しでも減らしたいです。
弓が軽くて速く動かせるようになりました。弓元の折り返しがふらつきにくく、弓先もぴたりと吸い付きやすい
軽くなったため、弓元で折り返したあとの音に子音が付きにくい。しっかりした音を出したい場合は、少し重みが要るようになりました。弾き方を修正していきたいと思います。
弓先のティップは以前からヒビが入っていたのですが、古い毛を取ったら割れていました。ティップは薄いほど運弓の反応はいいのでしょうが、強度が落ちるので、少しだけ厚めにしてくれました。
ナットのE線の溝を削ってなめらかに
4弦の音を確認してもらうと、E線が少しピリついていました。毎日聴いていると気づかないものですね。
魂柱の位置を少し駒寄りに
標準より少し駒から離れていたそうです。
恐らく理由があってそうしてもらったのですが(もう忘れた)、音がモサッとしていてレスポンスが悪いと感じていたので近づけてもらいました。
全体的に音がクリアになって、反応が良くなりました。とくにD線G線の音がモサモサしていたのが、すっきり。低音の雑味が減って 音色は平坦になったけど、発音はしやすくなりました。レッスンにはこの状態が向いていると思います。
E線アジャスターのネジのサビ取り
動きにくいんですが、古いんですかね。そろそろ交換かな。と私が言ったら点検してくれて、ただサビていただけでした。(汗)
新品のようなスムーズは動きではありませんが、可動域が戻りました。
今回は直さなかった箇所もあります。
弓のフロッグの貝スライドが浮いている
半月リングに押さえてもらう部分が、折れて無くなっていました。次回直してもらおうと思います。
E線側の弦高が広がっている
指板が下がって、E線側の弦高が広がっているそうです。弦高とは、指板と弦のあいだの高さのこと。
ここが狭いと押さえるのに指に力がいらないので楽。広いと(特にハイポジションを)押さえるとき力が要るのですが、広いほうが張りのある強い音が出せます。オーケストラに対抗できる音量が必要なソリストを目指すのでなければ、弦高は低めにしてもらう(徐々に広がる)と弾きやすいです。
弦高は年月が経つと広がってきます。原因の1つ目は、左指で触れることで指板が摩耗するため。2つ目は、指板のペグ側はネックの上に乗っているのに対し、駒側は宙に浮いているため。
私のバイオリンは、真ん中あたりが全体的にやや開き気味だが、E線のハイポジション部分は標準とのこと。音の張りより押さえやすさを優先して、E線ハイポジションは低めに調整してもらったはず。ということは指板が下がってきているわけです。
ハイポジション部分より真ん中の弦高が開いてきているのは、そこに左指を置くことが多いからでしょう。指板の摩耗です。(ハイポジションを訓練していないことがバレてしまった。)
直し方は段階的にいろいろ。
●程度がひどくない場合は、駒を削って、一律に弦高を低くする。
●弦高のばらつきを直したければ、指板の表面を削り直す。&駒を削る。(外来)
●指板を交換することで、指板を上げることもできる。(入院・小手術)
●指板=ネックが下がりすぎているようなら、ネックを取り外して付け直す。(入院・大手術)