バイオリン・ビオラを弾くとき腕と胸はセパレート(分離)が必要です。セパレートしていないと、指が回らず、トリル・ビブラート・ポジション移動などができません。
一流のパフォーマーを見ると、腕と胸はきれいに分かれています。大人の初心者さんの体が動かないのは、腕と胸が癒着しているからです。
胸はそのまま。胸は置いておく。胸は左右対称。
腕は持ち上げる。腕は左右非対称。左腕は外旋、右腕は内旋。
セパレート(分離)するには、境目を知らなければなりません。腕と胸の境目はどこでしょう?
腕ってなあに? 胸ってどこかなあ?
♫ 腕の骨、胸の骨
腕の骨: 鎖骨、肩甲骨、上腕骨より先
胸の骨: 胸椎(背骨)、胸骨(前)、肋骨
♫ 腕の筋肉、胸の筋肉
腕の筋肉
①大胸筋、広背筋
②鎖骨や肩甲骨と、上腕骨をつないでいる筋肉
③肩より先にある筋肉
胸の筋肉
④僧帽筋
⑤前鋸筋
⑥上腕骨につながっていない筋肉
1つの筋肉には、複数の役割があります。そのため骨のように、100%どこそこの筋肉、というような線引きはできません。
①大胸筋と広背筋は、体幹のキーマン的な筋肉です。
様々な役割を担っていますが、その筆頭は上腕を動かすことです。
体の前面にある大胸筋は、上腕骨・鎖骨 と、胸骨をつないでいます。
体の背面にある広背筋は、上腕骨・肩甲骨と、背骨(胸椎・腰椎・仙骨)・骨盤・肋骨をつないでいます。
②肩関節の外側にあるのは三角筋。内側には小さな筋肉がたくさんあり、それぞれが複雑な役割を担っています。
④後頭部の付け根、両肩、第12胸椎の4点に、ひし形にへばりついている(?)筋肉。役割の多様さは、ほかの筋肉の追随を許しません。首や頭部に大きくかかわっています。
⑤肩甲骨と肋骨をつないでいる。バイオリン演奏に大きく関わっている。
♫ 関節でいうと、腕と胸の境目はどこ?
胸鎖関節(きょうさ かんせつ)、1カ所のみです。
胸鎖関節とは、胸骨と鎖骨の接点です。
鎖骨の、体の中心側を触ってみてください。そこが腕の始まりです。
肩は、腕が始まって2つめの関節です。
肩は、鎖骨・肩甲骨・上腕骨3つの骨による関節です。
四つん這いから二足歩行になったため、肩関節はとても複雑で、凝ったり故障しやすかったりします。
♫ 筋肉でいうと、腕と胸の境目はどこ?
大胸筋・広背筋の、センター側の停止部です。
体の前側は、大胸筋のセンター側の停止部、胸肋関節(きょうろく かんせつ)の位置です。
胸肋関節とは、胸骨と肋骨の接点です。
体の後側は、広背筋のセンター側の停止部、肋椎関節(ろくつい かんせつ)の位置です。
肋椎関節とは、肋骨と椎骨の接点です。
(背骨の骨の1つ1つを、椎骨(ついこつ)と言います。)
この位置から腕や指を動かす意識が、非常に大切です。音楽家は、体のパフォーマンス力が資本の職業です。アスリートや役者などと同じです。自分の骨格や筋肉について知り、そのコンディションに責任を持たなければなりません。