今年も、京田辺 松井山手で教えている子供たちのクラシック発表会が、秋篠音楽堂で開かれました。秋篠音楽堂は、客席数300のクラシック専用ホール。少し規模の大きい発表会にぴったりの会場です。
近鉄京都線 大和西大寺駅のショッピングモール「ならファミリー」6階。京都南部から奈良市界隈でもっともステキなクラシックホールでしょう。舞台上でスタインウェイとヤマハのグランドピアノが2台使え、ロビーとリハーサル室にもグランドピアノがある、ピアニスト垂涎のホールです。
コロナの影響で参加者は少なく、私の生徒からは小学生の男の子が2人出演しました。家族や友人の演奏を聴くために足を運んだ聴衆は意外に多く、客席は市松模様に埋まっていました。
今回参加した2人は、同じ日に体験レッスンに訪れ、同じ日からレッスンに通い出しました。 お母様おふたりも愛情あふれる似通った雰囲気の方で、本人同士も1歳半はなれているのですがウマが合うようでした。ご縁とは不思議なものです。
小2のRくんは、スズキ1巻のアレグロと、テレビアニメ「鬼滅の刃」のオープニングテーマに使われた LiSAの「紅蓮華」。
ちまたで流行っている曲にうとい私ですが、毎週レッスンし、生徒のための模範演奏録音をすると、すっかり頭にインプットされました。イントロのコード進行がいいですね~。
ジブリとか、J-POPとか、シンプルで分かりやすい曲は好きです。(わかりにくいクラシック曲は好きじゃありません。)休憩時間にピアノパートを練習して遊んだりしていました。
小4のSくんは、「ひまわりの約束」と「名探偵コナンのテーマ」。1曲は教本から選ぶよう言ったのですが、どうしてもこの2曲がしたいとのこと。先生としてどう判断すべきか迷ったのですが、『先生の考え方を伝えた上で、本人に決めてもらう』ことにしました。
あなたの好きなようにしていいよ、と言うのは、優しい先生に見えるし、一見楽です。しかし、スキルアップするためにさらうべきことを知っている先生にとっては、苦しいものがあります。「そうしたいんだ。わかった。いいよ~」と言いながら、必要なことを身につけてもらうスキを、常に虎視眈々と狙っているのです。
Sくんはコナンを、楽譜に忠実ではなく耳コピーで弾いていました。私も「こんな風に弾こうか」と模範演奏をするとき、楽譜ではなく彼の顔を見て弾きました。そのため楽譜とは違う音程やビートになりました。
巷ミュージックの楽曲は、売っている楽譜であっても、書きおこした人によってビミョーに違います。ジブリでもディズニーでも、半音違っていたり、半拍違っていたりします。歌謡曲だって同じシンガーでも、気分で歌いまわしが変わったり、年月が経つと音程すら変わったりします。
だからクラシック曲と違って、楽譜通り弾くことにこだわるのは、意味がありません。
しかし基本的な読譜力、基本的な弓使い、基本的な左手の形は、学んでほしい。巷ミュージックばかり弾いていると、それらがおろそかになります。クラシックの先生が、クラシック曲を弾いてほしいと思うのは、ちゃんと理由があるのです。