始める「年齢」って大事でしょうか?
大人の初心者さんの多くが、子供のころからやっていればと悔しがるのですが、結論から言えば「年齢」は大切な要素ではありません。プロを目指すのでなければ。
アマオケに行くと色々な経歴の方がおられます。チェロ・ビオラであれば、仕事をリタイヤしてから始めたシニアの方もいます。バイオリンだと、子育てを終えてから4~5年さらって、アマオケデビューしている方がおられます。もちろん子供から習っていて音大を出た人もいます。
さすがに定年後のスタートで、子供のころから弾いてきた人に追いつくのは無理でしょう。しかし、中高の器楽部からスタートして、幼稚園から習っているより上手な人は沢山います。30代40代で始めて、中高から弾いてるより上手な人もいます。
1986~1999年に関西の大学オケ有志で結成・運営されていた「ザ・シンフォニー・ユース・オーケストラ」は、各大学から腕に自信のある強者が集まりました。幼稚園や小学生からバイオリンを始めている学生もいる中で、大学1年から始めたのに、オーディションでコンマス席を射止めた友人もいます。
「年齢」があまり関係ないならば、「才能」でしょうか?
それも一番大事な要素ではありません。
そもそもバイオリン・ビオラの「才能」って何でしょう?
①音楽への感受性が高いこと。音楽の美しさを繊細に感じり、それを表現しようとできること。
②音程がわかること、リズムが取れること
③体が楽器をじょうずに操れること。
①はバイオリンがやりたい!と思う全ての人に備わっています。備わっているから音楽がやりたいと思うのです。
②もそうです。バイオリンがやりたい!と思う人は、音程やリズムが取れます。音程やリズムが取れるから、楽器(バイオリン)に興味を感じるのです。
③は「体」「臓器」の問題です。スポーツと同じです。
②も、脳という「臓器」の問題だと言えるでしょう。
私はまだまだバイオリン・ビオラが上手になりたいですが、「ああ、もっと才能があったらいいのに」と嘆きたくはなりません。
嘆くとしたら「ああ、もっと体が動いたらいいのに」です。私が欲しい才能は③です。
「年齢」でもない、「才能」でもない。
では、なにを『持って』いれば上手くなるのでしょうか? それは
第1位 やる気
第2位 持続力(×やり方)
第3位 身体能力
です。
私のバイオリン教室には、5歳から70歳代まで様々な年代の生徒さんがいらっしゃいますが、どの世代においても同じことが言えます。子供でもシニアさんでも変わりません。
身体能力は、年齢が若い方が高いでしょう? と思われるかもしれませんが、意外とそうではありません。
●これまで教えたなかで一番、バイオリンを構えたフォームに「才能」があったのは、60歳を過ぎた女性でした。「こんな感じですか?」と言いながら構えた姿勢に、治すところはありませんでした。読譜や運指を教えました。ところがその方には「持続力」がありませんでした。
●弓をもつ指の関節の角度が、1回の説明で「腑に落ちた」のは、60代の男性でした。年齢もあり多少ぎこちなくはありましたが、その形で弓を引くことができました。子供時代にたくさん身体を動かしたからでしょうか。
2021.01.14 指の関節の角度について
●体験レッスンであまりの体の固さにガックリ来たのは、中学3年の男子でした。中学生・高校生といえば、肉体的に一番早く、バイオリンの演奏フォームを真似できる歳です。
ところが彼は諦めが悪かった(=ねばり強かった)。そして①の才能が大変に高かった。2年後には小野アンナのスケール教本をやっていました。
身体能力が高くなくても、「やる気」と「持続力」のある生徒さんはじりじりと上達していきます。大人の初心者さんでも、アンサンブルレッスンへの参加レベルには半年で達します。