バイオリン・ビオラ教室のピアノ伴奏をいつもお願いしている金原佳子先生に、左指をさらう順番について使いたい教材が無いとこぼすと、
佳:新しい教材というのは、既存の教材に満足できない先生が出すんだよ
そーなんや。
佳:出したら?
いやいや。。
限られた教材しかないのが悩みのバイオリン・ビオラですが、ピアノは教材がいっぱいありすぎです。次々と多種多様な本が出版されます。ピアノの先生はまじめであるほど、比較検討に労力がかかります。
♫ 多くの教本では
バイオリン・ビオラの多くの教本では、左指は 1→2→3→4 という順で習います。よく使われている教本でご紹介しましょう。
子供のための バイオリン教室
この上巻・中巻・下巻の3冊シリーズは、使い勝手がよいので、私も使っています。多くの先生が、スズキメソードや新しいバイオリン教本の前段階の教材にしています。
この教本では、左の指は以下の順で習います。
①0と1で弾ける曲
②012で弾ける曲
③0123で弾ける曲
未就学児向けにゆっくり進むように作られており、1週間で1曲 進む使い方をすると、何ヶ月も0と1のみになります。そのため0と1だけの期間が長くならないよう工夫しています。
スズキメソード
0123を同時に、アトランダムに使いはじめます。
4もすぐ登場します。
新しいバイオリン教本
①0123という順番で置く練習
②012で弾ける曲
③0123で弾ける曲
④0でなく4を使う
0123の順で、指を置かせる曲が多めです。
♫ 私の考え
肉体的に私がよいと思う順は、以下の通りです。
①3(または2)
②2(または3)
③4
④1
しかし、1を使わなければ、曲もスケールも弾けません。
ですので現実的には、
①1・2・3を使う
②2・3の形を良くする
③4の形を学ぶ
④1の形を改善する
という順でレッスンすることが多いです。
4の形が作れて、1の形が良くなると、ポジション移動やビブラートが楽にできて、芋づる式に上達します。
(鏡に映した写真なので、反転しています。)
♫ サスマンスハウスの考え方
サスマンスハウスの はじめてのヴァイオリン教本 という教材では、2→4→1→3という順です。1→2→3→4という固定観念があると、ギョッとするような順番です。 私は実際に弾いてみて、ありえると思いました。
いちばん難しい指を最後にする。その考え方には誰も異論はないでしょう。 それが1なのか4なのかは、意見のわかれるところだと思いますが。
しかしサスマンスハウスの本では、最後が3です。これも最後は1か4だと思いこんでいると、ギョギョッとします。しかし2→4という順番を体験してみると、→1→3 もあり得ると感じます。実際に手を動かしてみて。
この教材を作った先生は、1→2→3→4という順に疑問を感じたのだ、と思うと、親近感がわきます。
掲載されている曲が、日本で馴染みがあるものが少ないので、生徒に使ってみたかったのですが諦めました。
♫ 1の指について
E線に1の指という(弦と指の)組み合わせは、全ての組み合わせの中で最も難しいと思います。
E線の1は、ハ長調のファに当たり、バイオリンの習い始めは#が付いた音程で弾きます。
イ長調→ニ長調→ト長調という順で曲をさらい、ハ長調になったとき初めて、E線の1(ファ)はナチュラルになります。
これが難しいのです。ビオラでは、A線のシ♭です。
体調が最悪だったころ、左人差し指を強引に使っていて、故障クセがついてしまいました。演奏の仕事を頻繁にキャンセルしていたこともあります。
長年におよぶ地道な改善で、今ではそんなこともなくなりました。これまでのノウハウを、生徒さんにレッスンでお伝えしています。
バイオリン習い始めは、EA線を使うイ長調が中心となります。教材によっては、AD線を使うニ長調も早めに出てきます。
どの教材をどのように使って進むかは、生徒さんの得手不得手をみて考えます。E1が辛い生徒さんには、E1が早くから沢山登場することのない道筋を考えます。