しばらくバイオリン・ビオラを弾かないときは、以下のようにしてしまってください。

①E線のペグをゆるめる

駒・ナット・表板への圧を減らします。何十度かペグの傾きが変わればOKです。ゆるめすぎると★と同じ状態になります。

※ナット(上駒)とは、指板とペグボックスの間にあって、弦が食い込んでいるところ、指板と同じ素材の小さなパーツです。

E線を張ったままだと、駒やナットに弦が食い込んできます。一般的には弦の半分が、駒やナットの上部に出ているとよいといわれ、バイオリン工房や工場ではそのように仕上げます。食い込んできても、使用中のバイオリンで定期的な毛替え=点検がなされていれば早期に調整しなおせますが、食い込みが激しいと駒もナットも交換しなければなりません。
また★E線が切れて弦が3本のまま放置されると、楽器本体のゆがみにつながります。

駒へのE線の食い込みは、駒のE線部分にガードがあると、起こりにくいです。安物でなければ大抵ガードされています。透明な皮のシールが貼ってあることが多いですが、高い楽器だと象牙や黒檀が埋め込まれていることもあります。E線に付属している保護管をはさむんでも、食い込みは防げます。

保護管については、こちらの真ん中辺に書いています。

2024.01.09 バイオリン・ビオラ 弦の交換方法

②弓の毛をゆるめる

毎回バイオリンをしまうとき行っているはずの作業ですが、子供などはゆるめていないことがあります。T楽器で売っていた中古分数バイオリンの弓も、毛との間が膨らんでるくらい張っていたものがありました。さいわい数か月間ゆるめていたらソリが戻ってきましたが、最悪スティックの木材が割けます。もう使わない分数バイオリンをしまう時は、大人が確認しましょう。

③松脂を拭く

普段は主に、弦についた松脂を拭きます。
2022/09/22 弦や顎当てが長持ちする、バイオリンの拭き方

長期間使わないときは、表板や弓のスティックについている松脂も拭きましょう。表板に松脂が残っていると、湿気をよんで固まったり、暑さでニスに溶け込んだりします。工場で量産されるセットバイオリンは、スプレーでニスを塗っており、松脂が溶け込みやすい溶剤が使われています。日本の夏の気温と湿度で十分?溶け込みます。スーパーで買い物するあいだ車の中に置くなど論外です。ざらめ糖をまぶしたような表板になってしまった分数バイオリンを見たこともあります。

④手垢を拭く

ちょくちょく取り出して練習しているときは、丁寧に拭かなくても大事件は起きません。けれど、しまいっぱなしにすると雑菌が繁殖して臭くなったり、金属部分に青カビがわいたり、木材が腐食したりします。ちょくちょく弾いていて顎当て金具が黒ずんでいる方は、要注意です。そのまましまいっ放しにすると、数年後は顎当て金具がグラグラになります。むかし丸一商店からもらってきた中古顎当てのストックを、きちんと拭いて保管していなかったので、いくつか破損してしまいました。

⑤温度や湿度の変化が少ないところに置く

赤ん坊を寝かせておける、くらいのレベルで考えてください。時々バイオリンケースを開けて風に当てると更にいいです。風に当てると、弓の毛の虫喰いの予防にもなります。

ペグが戻って音程が狂ってしまう、という事件は、安めの楽器を中心によく起きます。再発を繰りかえす場合は、バイオリンケースの置き場所が悪いです。「温度や湿度の変化があるところには置いていません」と言う生徒でも、置き場所を変えるとおさまります。
2022.03.06 バイオリン・ビオラのペグがゆるむ時